元・家賃保証会社社員が本気で何でも答えたら

家賃保証会社に関してネットには嘘や誤解が多すぎる。だから自分が答える!

Casa第1四半期で赤字。経常利益はマイナス6,700万円

2020年6月12日にCasaの第1四半期短信が出ました。なんと第1四半期で赤字です。3月19日に865円まで下がった株価は徐々に上がり、6月12日時点では1270円まで回復したのですが、土日を挟んだ6月15日には1083円まで急落しています。

赤字発表のよく営業日、Casaの株価は急落した


Casaに何があったのか?保証会社は大丈夫なのか?

2019年1月期第1四半期 → 2020年1月期第1四半期
売上高 22億9800万円 → 25億200万円
営業利益 2億8200万円 → △7600万円
経常利益 2億9200万円 → △6700万円

見事に赤字です。なお、2020年1月期第1四半期は連結になっていますが、昨年に子会社のCOMPASSを設立したためと思われます。

決算短信を読んでも新型コロナが影響のように読めますが、はっきりとコロナが原因で経常利益が赤字と書いているわけではありません。ただ、家賃の支払い猶予に応じた結果、求償債権は5億1100万円増えたとあります。

ではコロナで赤字になるのかというと少し疑問です。長期的に見れば建て替えが増えて回収できないわけなので赤字になる可能性はありますが、コロナが原因だとすると数字への影響が早すぎます。

少し前までCasaは立て替えも回収も大きな問題はないと公表していましたので、回収率が落ちておらず、売上も落ちていないことを考えれば何か別の大きな固定費が掛かった可能性があります。そう考えると今後Casaの巻き返しが予想されますが(事実第2四半期の業績予想では4億3200万円の黒字となっています)、わからないのは上場会社が赤字を出したら嫌気で株価が急落する事をCasaが予想していないはずがないことです。

誤解しないでほしいのですが、大手保証会社が赤字になったからと言って保証業界が危ないというわけではありません。立て替えが増えて長期間回収率が落ちるようなことがあれば問題ですが、新型コロナによる影響は現状ではそこまで大きくありません。大きく数字に影響するとすると次のクオーターか次の次のクオーターです。

Casaが危ないかと言えばその点も問題ないと思われます。現金は20億円、コミットラインで40億円確保していますので相当な長期間コロナが止まなくても耐えられるはずです。ただし、毎月の立て替えが30億円を超えていますので、回収が本当に焦げ付くようなことがあれば危ないでしょうね。

もっとも、回収が焦げ付いて危ないのはどこの保証会社も同じですが。

この辺り、詳細を知っている人からの情報欲しいです。
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ぼくのかんがえたさいきょうのほしょうがいしゃ

タイトルが読みづらいので漢字にしますが、「僕の考えた最強の保証会社」です。元ネタは皆さんご存知、ぼくのかんがえたさいきょうのです。

ネタですが、実現できたら良いなとは思います。

保証会社の何が問題か?



保証会社の問題というわけではないですが、入居者にメリットが伝わりにくいです。私はブログでたびたび保証会社の利便性やメリットを訴えていますが、世間には伝わりません。

なぜなら入居者には保証会社を使うことのメリットが一切無いと思われているからです。

ここでは入居者が保証会社を使うメリットの話ではないのでメリットは割愛いたしますが、分かりやすいメリットとは金銭的メリットでしょう。

つまり、入居者は保証会社にお金を支払っているのに見返りがないと思われているのが問題です。最強の保証会社ではこの金銭的メリットを考えました。

最強の保証プラン



具体的には、入居時に契約者から保証料をいただきます。この保証料を証券化(というのでしょうか?)します。入居すると自動的に保証会社に出資したみたいな感じになって保証会社の運用益に応じて解約時に返戻金があるようにするのです。

例えば、家賃10万円の物件に入居します。入居時に50%の5万円を保証料として支払いますが、この5万円のうち、25,000円は保証会社の純利益、25,000円は出資金として分けます。この25,000円は保証会社の方で預かりますが、保証会社では出資したお金を集めて運用をします。運用方法は保険会社と同様で、国債を買ったり、株式を買ったり、不動産投資をしたりして利益を出します。不動産小口商品と思ってもらってもよいです。

こうすると保証料が多少高くても運用ができるという入居者のメリットが如実に出ます。解約にすれば運用益に応じて利益が出ます。元本保証はできませんが、本来は戻ってこないお金なので入居者には「お金が戻ってきた」という感覚しかないはず。そして、手数料として25,000円(家賃10万円の場合)を保証会社が貰います。そうすれば保証会社は結果的に最初に50%を貰ったのと同じです。

ETFと同じなので住んでいる期間が長ければ長いほど得をする(ハズ)です。つまり、家主からすると入居者が引っ越さないのでメリットがある。保証会社は毎年更新の際の保証料が取れるのでメリットがある。入居者は毎月管理画面で自分の資産が積みあがっていくのを見てニマニマできる、そして引っ越した時にはお金が出るのでメリットがある。三者得をしそうです。

ただ、短期的にバブルが来て、一時的に利益が出たことを理由に超短期引っ越しをされても困るので返戻率は設定が必要です。例えば1年では10%、2年で25%、3年で50%、4年で返戻率100%とか。

家賃が遅れたら出資解除



この方法では保証会社の利益は最初の保証料25%だけになりかねません。実際には解約時に25%を貰うので最初から50%貰っているのと同じですが。趣旨は入居者にもメリットを、なので優良入居者には出資を続けてもらいます。そして、家賃が遅れた場合には出資金を諦めてもらいます。ただし、出資を諦めてもらうには家賃延滞頻度(回数?)を設ける必要がありそうですが。

家賃が頻繁に遅れる世帯はそもそも投資なんてできないし、出資していなくて元々です。返戻金が0%になるということは家賃延滞時に「このまま家賃が遅れ続けると出資金を諦めてもらうことになる」というデメリットと「今積みあがっているお金が将来戻ってこなくなる」というデメリットがあり、家賃延滞の抑止力になります。

むしろ、これでも遅れる人はそもそも家賃が支払えない人なので、保証会社にすれば優良顧客にはなりえません。

保証会社の利益は担保できるのか?



では保証会社の利益が確保できるのかどうかが問題です。仮設定ですが最初に保証料を50%取りますが、内半分は本当の保証料、半分は出資です。しかし、出資は最後に戻ってくるので最初に50%受け取っているのと事実上は同じです。

問題は運用益がどの程度出るのかですが、SODATTEによると2008年から2018年に毎月3万円積み立てて投資信託をしていた場合には貯金なら360万円、投資なら622万円になっていたというデータがあります。約1.7倍です。

この数値をそのままは使えませんが、仮にそのまま使うと25,000円出資すると約43,000円になります。出資金の25,000円を差し引くと18,000円戻ってきます。10年で18,000円かよと思うかもしれませんが、出資額が少ないのだから配当が少ないのは当たり前です。入居者は管理画面から出資金を増やせるようにすれば更なる利益が見込めるわけです。追加出資した分は入居者のものなので解約時に返せばよいだけです。元本保証はできませんし。

確定拠出年金などの積み立てもよいですが、年齢が一定になるまで引き出せません。このプランであれば解約にすればいつでもお金が出るので通常の投資と同じです。

LINEスマート投資というサービスがありますが、これは500円からできる投資です。はっきり言いますが、500円だけでは利益が出てもたかが知れています。でも500円でも証券でサービスができるのだから25,000円ならサービスとして通用するはず、と思っています。

法律関係はどうなるか?



私が全くわからないのは法律関係とか許認可関係です。多分、これをやろうとすると行政の許可が必要になりそうです。資本金がいくら以上とかの制限も出てきそうです。

そうなると保証会社がやるよりも、現状の保険会社や証券会社が家賃債務事業をやる時にできるプランかもしれません。SBIギャランティーみたいに。

実現の難易度は不明


ネタですが、詳しく話を聞きたい人がいればご連絡ください。
info@hoshokaisha.jp まで

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上場保証会社3社の決算からコロナの影響を考えてみる

5月12日に上場している保証会社3社(ジェイリース、あんしん保証、イントラスト)から2020年3月期の決算短信が出ました。コロナの影響が保証会社にどこまで及ぶのか検討してみます。

※Casaの決算短信は6月12日に公表予定です。

ジェイリースの2020年3月決算短信


ジェイリースの短信には次のようにあります。

与信審査の強化を図り、貸倒リスクが高い案件の契約を抑制するなど、将来的な貸倒コストや訴訟関連費用を抑制するため債権良質化に努めてまいりました。経費面では業務効率化等により経費削減等を進めてまいりました。

不動産仲介事業は、営業拠点を福岡に一本化し、利益率の向上に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス感
染症対策としての入国規制措置等の影響により、海外顧客の契約件数が減少いたしました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一定期間の賃貸不動産業界の入居需要縮小、家賃等滞納の増加が想定されます。このような事業環境のもと、上期はコロナ禍の影響により申込数が減少、下期においてはコロナ禍の影響が縮小
し、回復に向かうものと想定しております。


無難な回答です。

コロナにより滞納が増えることを考えれば最初の審査を厳しくすることで家賃滞納率を下げ、回収に注力することで訴訟費用を下げることで利益を確保するというのは保証会社としては妥当です。

ジェイリースの場合にはあすみらいという不動産仲介の連結子会社に持っていますので、不動産仲介の契約数減少もジェイリースに影響します。ただし、影響は軽微なはずです。

そして、ジェイリースはコロナにより上期は家賃滞納の増加と申込数の減少を認めています。というよりも認めざるを得ないのでしょう。下期が回復するというのは予想ですが、ここでもコロナが続くので滞納増と申込減少が続くとは言えないでしょうね。

2019年3月期と2020年3月期を比較すると次のようにあらゆる面で上昇しています。

売上 60億8,200万円 → 67億4,400万円
営業利益 △1億100万円 → 1億5,500万円
経常利益 △1億4,600万円 → 1億500万円
純利益 △1億4,900万円 → 2,400万円

2020年4月の民法改正により保証業界は好調と書いていますが、それでも申込減少による影響は避けられそうもありません。

なお、ジェイリースの自己資本比率は次のように推移しています。

6.4%(2016年)→16.5%(2017年)→14.8%(2018年)→9.2%(2019年)→8.3%(2020年)

そして、長期借り入れは減っているもの、短期借り入れは26億円(2019年)から32億5,000万円に増えています。決算補足説明資料によるとコミットメントライン及び当座貸越契約による65億円の枠を確保(利用率約50%)とありますので、32億5,000万円の借り入れはこれのように思えます。

2021年3月期の予想では売上は73億円まで伸び、利益は8,000万円まで上がる予定ですので、下期の回復を見込んでのことでしょう。

【参考】
ジェイリースの決算短信
ジェイリースの決算補足説明資料

あんしん保証の2020年3月決算短信


あんしん保証の短信には次のようにあります。

貸倒引当金の増加が前期増加分を上回ったため貸倒引当金繰入額が151,254千円増加(前期比45.3%増)

政府による緊急事態宣言下の自粛効果による感染収束で、経済活動は少しずつ正常化に向かうものと見込まれます。


貸倒引当金が増えたとありますが、これは立替家賃のうち回収できなかったものが1億5,000万円ほどあったようです。そして、今後コロナは正常化に向かうとあります。

2019年3月と2020年3月の数値を見ると順調のように見えます。

売上 31億8,200万円 → 35億4,200万円
営業利益 2億7,400万円 → 3億8,300万円
経常利益 3億4,000万円 → 4億5,400万円
純利益 2億900万円 → 2億9,900万円

2021年3月は更に伸びる予想とのことです。

ただし、決算短信を見ても今後伸びる理由がイマイチ分からず、具体的な施策もわかりませんでした。上場企業の公開資料ですから根拠はあると思いますが、腑に落ちない点はあります。

大株主のアイフルの21年3月期は前期比12倍の見通しとなるという情報もありますので、これで強気なのかもしれません。

【参考】
あんしん保証の決算短信
あんしん保証の決算説明資料

イントラストの2020年3月決算短信


言っていることがよくわかりません(笑)

数値は並べていますが医療費保証が伸びているらしいです。イントラストは家賃保証、医療費保証、養育費保証がありますが、家賃保証はどの程度影響するんでしょうね。

あとWindowsアップデートに結構費用がかかったらしいです。この情報が重要なのかはわかりません。

【参考】
イントラストの決算短信
イントラストの決算説明資料

参考:LIFULLの決算説明資料


なお、LIFULLの決算説明資料には2月26日以降は外出自粛で不動産業者への問い合わせと来店が減少したこと、4月7日以降は不動産屋も営業自粛を始めることを予想しています。コロナに対するユーザー動向調査と事業者アンケートもありますので見ておいた方がよいです。

上場企業の資料は信用に足るものと信じている・・・


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ハウスコムの専門的すぎる見地は理解不能

コロナが流行って家賃が苦しい、家賃が払えないという人が多くなってきました。もともとニュースでも家賃が苦しいというのは話題に挙げられていましたが、最近では目に見えて払えない人が多いです。

さて、コロナが流行っているかどうかとは全くの別問題で、お金がないので家賃が払えないのですがどうしたらいいの?という疑問はいつでもあります。

家賃が払えないなら払えるようにすればよい、払えないなら出ていけばよいという意見もあり、正しくはありますが回答が短絡的です。

では、家賃が払えない時はどうすえばよいでしょう?

私はハウスコムのサイトで驚愕の回答を見つけてしまいました。

ハウスコムは東証一部に上場している不動産賃貸仲介業の大手です。発言力は大きく、発言内容も信頼できると思っていたのですが・・・

家賃が払えなければどうすればよいのか?



私が驚いたのはお金が無くなってしまい、家賃が払えません。どうしたらいいんですか?という記事です。

ハウスコムの理論は面白いです。
  1. 家賃滞納の前例は避ける
  2. 人にお金を借りる
  3. 敷金で家賃を補填する。敷金はそのためにある
  4. 敷金がないなら大家や不動産屋に相談する
  5. ローンを使う

私は読んで思いました。バカ丸出し。

多分、メディア展開(?)するために外部のライターに1記事いくらで作らせたのでしょうが、それにしても酷い内容です。こんな記事を公開するようでは東証一部上場の肩書が泣きます。お里が知れます。

家賃が支払えないなら支払うように動くのが筋です。では具体的にどのように動くのかがありません。そして、敷金は家賃滞納に備えるものではありませんので、家賃支払いが遅れそうだからと敷金から引こうとするのは論外です。ローンを使うのは問題の先送りです。

質問に対してロクな回答がない上に的外れで、書いた人が不動産に詳しくないことがよくわかります。

当社は、人間生活に必要な三大要素(衣食住)のひとつである「住まい」の分野で、専門的見地からのアドバイスを行い、安心で快適に生活できる空間を、お客様のニーズに合わせて提供する不動産賃貸仲介業です。


ハウスコムの公式サイトには上記のように記載がありますが、これが専門的見地であれば専門的過ぎて私には理解ができません。

では家賃が払えない時は本当はどうすればよいのか?

人から借りる



家賃が支払えない場合にお金を用立ててくれる人に相談することは、実はそれほど悪い方法ではありません。親や兄弟に借りることができれば金利がつかないことが多く、返済猶予期間が長い場合が多いからです。

しかし、お金の関係は人間関係に強く影響します。借りたお金が返せない様では間違いなく人間関係にヒビが入りますので2回も3回も使える手段ではありません。

敷金は家賃に充当できない



敷金は万が一のための保証金です。契約時に家主が預かりますが退去時に返す前提のお金です。

敷金を使うのは退去時に原状回復費用が発生した際に実費分を差し引く、退去時に家賃滞納があった場合に差し引くなど、住んでいる間に使われるのではなく退去時に使うものです。

もし家主側で敷金から引いておこうか?と提案があった場合には家主の温情です。家主側にはメリットはなく、退去時に他の支払いが補填できない可能性があるというリスクのみが発生します。

さらに家賃保証会社が使われている場合には保証契約の解除事由に該当するので家主側にはデメリットとリスクしかない行為です。

住居確保給付金を使う



家賃が払えない時に住居確保給付金の制度を利用するのは正論です。その通りですが、知名度が低いためあまり使われていない(はず)です。

失業した人向けの制度でハローワークに求職申し込みが必要でしたが、今はコロナの影響もあり、求職申し込みをしなくても受けられるようです。

家賃の3ヶ月間~9か月間は自治体から支援を受けられるので利用できる場合には大変おすすめです。

生活保護を利用する



生活保護に良いイメージはありませんが、社会的弱者は遠慮することなく利用してよい制度です。そのために税金を支払っています。

生活保護を受けることが悪いわけではなく、生活保護を隠れ蓑に悪さをすることがダメなのです。

むしろ変なプライドが邪魔をして家賃滞納して家主に迷惑をかけるよりも素直に生活保護を受ける方が周囲への被害が少ないため良いです。

債務整理する



債務整理は借金を解決する手段です。当たり前ですが借金がない人は債務整理はできません。

しかし、経験上、家賃滞納をしている人は借金をしていることが多いです。債務整理をすれば毎月の返済額を減らすことができるので家賃や生活費に回すお金に余裕ができます。

債務整理と聞くと自己破産を思い浮かべる人もいますが、普通は任意整理という手段を取るのでデメリットはそこまで大きくありません。信用情報は傷つきますが生活レベルが安定する方がはるかに重要です。

債務整理するためのお金がないと思っている人もいますが、債務整理を依頼している間は借金返済をしなくてよいので返済しない分、弁護士への支払いができます。それでも無理なら法テラスを利用することで分割払いで対応してもらえます。

過払い金を取り戻す



本当かどうかは知りませんがコロナの影響で過払い金熱が再度ぶり返していると聞きます。過払い金は昔お金を借りた人が本当は払わなくてよい金利を支払っていたために発生するお金で、条件次第では2020年になった今からでも取り戻すことができます。

しかも戻ってくる金額が100万円、200万円などと高額なことも多いため、過払い金があるならすぐに調べないと損です。

過払い金請求はアディーレが有名ですが、他にもホームワンベリーベスト杉山事務所きわみ事務所など過払い金請求を得意とする弁護士・司法書士もたくさんあります。

本当に払えないなら出るしかない・・・


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コロナがあっても敷金相殺できない理由

新型コロナが猛威を振るいまくっています。怖いです。

しかし、コロナが流行って怖いのとは別に経済が止まるのも怖いです。3ヶ月くらい前はコロナで自粛すると経済が止まって自殺者が増える(だから自粛しちゃ駄目)という専門家の意見もテレビにで見られたように思えますが、今ではすっかり自粛ムードです。

コロナが完全に収まるまで2年、経済が回復するまで5年とも言われていますので恐ろしい限りです。

そんな中、経済が止まって家賃に影響が出る事案が出まくりです。休業または減収になるわけなので当然です。

家賃が払えないから「猶予してくれ、減額してくれ」という入居者からの声に対して、家主の温情で「今月分は敷金から引いておこうか?」と聞くと「敷金から引いたら退去した時に戻ってこないから嫌だ、減額してくれ」という微笑ましい(?)対話が各地で行われているそうです。本当は恐ろしい入居者です。

しかし、敷金があったとしても安易に敷金から引いてはいけません。家賃保証会社が入っていれば猶更です。

敷金というのは預かっているお金ですから、大前提は退去時に返すお金です。しかし、退去時に家賃滞納があった場合や入居者負担の原状回復費用が思いのほか掛かる場合には敷金から使いますので、家賃と敷金を相殺してしまうと退去時に家主がババを引くことになりかねません。

そしてもっと悪いことに家賃保証会社が入っている時に敷金と家賃を相殺してしまうと家賃保証会社から保証契約を解除されてしまうかもしれません。

保証会社は入居者の家賃支払い能力を保証しています。そして、家賃滞納が起きれば立て替えて入居者に請求します。これで回収できれば問題ないのですが、一定数は本当に払わずに夜逃げしたり、裁判で強制退去にしたりすることになります。つまり保証会社が喰いっぱぐれるわけです。

そんな時に敷金が残っていた場合には保証会社の債権に敷金が充当されるわけです。だから敷金は保証会社にとっても回収減になるわけです。これがなくなるのは結構痛い。だから保証契約には敷金を滞納家賃やその他未支払い分と相殺してはいけないというような条文があるはずです。

実際、フォーシーズは家賃の敷金相殺について「不可能です」と強く断定し、保証契約解除の原因になることを書いています。どことは言いませんが保証会社によっては隙あらば保証契約を解約にしてくるところもありますので家主と管理会社は要注意です。

なお、フォーシーズでは家賃の減額と免除には対応している旨が記載してあります。これは家主が滞納を報告しなければよいだけなので当然です。分からないのは家賃の猶予についてです。

猶予につきましては、将来、家賃滞納が発生した場合に滞納未報告による保証契約解除リスクが御座います。猶予の覚書書面をカスタマーサポートセンターまでお送り頂ければ対応致します(敷金との相殺は出来ません)が、猶予分のお家賃については、将来にわたり保証致しかねます。


フォーシーズの公式サイトには上記のように書いてありますが、少しわかりにくい表現です。

私の推測が入りますが、家賃滞納は初動が重要なので家賃滞納があった時にはできるだけ早く報告してほしい。それにも関わらず報告をいつまでもしない場合には迷惑な家主なので保証契約を打ち切ることがあるということだと思います。たぶん契約書に細かく書いてあるのだと思いますが、そこまで読んでいません。

そして、猶予分の家賃については保証しないと書いてありますので、猶予するなら支払わない場合のリスクは家主側で引き受けてくれということです。

まとめると、家賃を猶予するのは勝手ですが本来は契約解除要件です。でも書類を出せば猶予したことで解約にはしない。ただし後から家賃を保証してくれと言っても保証しない、ということのようです。

敷金は誰のものなのか?


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