家賃保証会社ルームバンクインシュアがグッドコムアセットの子会社になりました。グッドコムアセットが前々から保証会社の買収を狙っていたのでしょう。
しかし、問題は時期ですね。2020年4月27日にグッドコムアセットの公式サイトで発表されていますので完全にコロナ禍です。
少し前であれば保証会社は民法改正が追い風と言われていましたが、今は保証会社は何故か叩かれる始末。特定の保証会社が倒産するという謎のデマツイートが流れた挙句、保証会社はそもそも不要理論がまかり通っています。
今はとにかくどの業界でも危ないと言われている時期ですので、特定の分野を叩くのではなく被害を抑えられるよう尽力すべきでしょう。皆さんも根拠のない発言には惑わされないようにしましょう。
家賃保証会社ルームバンクインシュア、グッドコムアセットの子会社になる
グローバル賃貸保証、廃業する
終わりの始まりかもしれません。北海道の家賃保証会社グローバル賃貸保証が廃業しました。
グローバル賃貸保証は大手とは言いませんが、北海道と東京にも支店がある、そこそこの保証会社です。代表の權喜植(クォン ヒーシク)氏は東京スマイルというエステの会社も経営していましたので家賃保証会社専業というわけでもなさそうです。
既にグローバル賃貸の公式サイト(http://www.global-chintai.co.jp/)も東京スマイルの公式サイト(https://www.tokyo-smile.biz/)も閲覧ができなくなっています。
さて、なぜグローバル賃貸保証が廃業になったのかというと、詳細は分かっていません。公式サイトによると2月26日に新型コロナウイルスの対策についてニュースアップしているので、ここ2ヶ月で急激に資金不足に陥った可能性はあります。しかし、専業の家賃保証会社ではありませんので東京スマイル(エステ会社)の方で資金不足に陥った余波がグローバル賃貸保証にも影響したのかもしれません。
なんにせよキャッシュがなくなるのはどの会社も倒産します。巷では新型コロナの影響で経済が停滞し、家賃滞納が増え、家賃保証会社の立て替えが急増することで家賃保証会社の倒産が起こると予測されていた矢先のことですから、今回のグローバル賃貸保証の倒産は私も衝撃です。
勘違いしてほしくないのは保証会社がコロナで倒産すると言いますが、別に保証会社でなくてもコロナで倒産します。不況になると家主は部屋を貸す際のリスクを考慮するから保証会社の利用が増える(という説もある)わけですから、保証会社はどちらかといえば不況に強い業界と言えます。もっとも、不況が来ると立て替えが増えるのは事実ですから滞納家賃の回収率と売上のトレードオフですが。
もう1点、注目してほしいのはグローバル賃貸保証は国土交通省の保証会社登録制度に加入しています(国土交通大臣(1)第58号)。登録制度の初期登録には財政面の審査もあったはずですが、こんなもの、という感じです。

ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
グローバル賃貸保証は大手とは言いませんが、北海道と東京にも支店がある、そこそこの保証会社です。代表の權喜植(クォン ヒーシク)氏は東京スマイルというエステの会社も経営していましたので家賃保証会社専業というわけでもなさそうです。
既にグローバル賃貸の公式サイト(http://www.global-chintai.co.jp/)も東京スマイルの公式サイト(https://www.tokyo-smile.biz/)も閲覧ができなくなっています。
さて、なぜグローバル賃貸保証が廃業になったのかというと、詳細は分かっていません。公式サイトによると2月26日に新型コロナウイルスの対策についてニュースアップしているので、ここ2ヶ月で急激に資金不足に陥った可能性はあります。しかし、専業の家賃保証会社ではありませんので東京スマイル(エステ会社)の方で資金不足に陥った余波がグローバル賃貸保証にも影響したのかもしれません。
なんにせよキャッシュがなくなるのはどの会社も倒産します。巷では新型コロナの影響で経済が停滞し、家賃滞納が増え、家賃保証会社の立て替えが急増することで家賃保証会社の倒産が起こると予測されていた矢先のことですから、今回のグローバル賃貸保証の倒産は私も衝撃です。
勘違いしてほしくないのは保証会社がコロナで倒産すると言いますが、別に保証会社でなくてもコロナで倒産します。不況になると家主は部屋を貸す際のリスクを考慮するから保証会社の利用が増える(という説もある)わけですから、保証会社はどちらかといえば不況に強い業界と言えます。もっとも、不況が来ると立て替えが増えるのは事実ですから滞納家賃の回収率と売上のトレードオフですが。
もう1点、注目してほしいのはグローバル賃貸保証は国土交通省の保証会社登録制度に加入しています(国土交通大臣(1)第58号)。登録制度の初期登録には財政面の審査もあったはずですが、こんなもの、という感じです。

ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
保証会社クライシスとは何なのか?
新型コロナが流行りすぎて世界も日本も不況です。このまま恐慌に突入すると1929年以来の第2次世界恐慌になりそうで本当に怖いです。
様々な業界で倒産が続出していますが、当然家賃債務保証業界にも波は来ています。そんな中で保証会社クライシスという言葉を見かけました。
保証会社クライシス、保証会社危機ということでしょうか。過去に大手保証会社リプラスが倒産してリプラスショックなんていう言葉がありましたが、それを彷彿とさせる言葉です。
保証会社のビジネスモデルはストックビジネスです。保証する案件が多ければ多いほど更新する際の手数料が大きく取れるので保証案件を増やすとビジネスとしては安定します。
しかし、保証案件を増やすということはそれだけ滞納リスクも増えるということです。入居者の一定数が滞納することは想定内ですが、不況が来ると滞納件数は一気に増えます。倒産やリストラが増えるので当然です。
保証会社の損益分岐点を計算する時には、この不況の際の滞納リスクも加味した上で経営判断をしているはずです。
もしここで恐慌が起こったらどうなるのか?普通に考えれば滞納が増えるので立て替えが一気に増えます。お金が無くて立て替えできなければキャッシュアウトで倒産です。立て替えたお金が全然回収できなくても次の立て替え資金がなければ倒産です。
こう考えると保証会社は売上を上げれば上げるほどリスクが大きくなるともいえます。
とある保証会社の営業担当は保証会社は営業に強いと触れ回っているようです。
これは本当ですが、嘘です。(どっちやねん)
家賃滞納が増えると家主側は今後のリスクを減らすために保証会社を使いたがります。そして、引っ越し需要そのものはなくなりませんので保証会社の需要は不況の時に伸びる可能性があります。
問題になるのはキャッシュです。
保証会社の需要が高まり契約件数が増えたとします。でも、不況の時にはより安い家賃を探しますので案件は増えますが客単価は落ちます。景気が良い時には多少無理をしても良い部屋に住む(そして延滞する)人も多くいましたが、不況の時に無理はしません。
入るお金と出るお金を比較して入るお金の方が多ければ問題ありません。客単価が下がるとすると契約数を増やすしかありません。契約数を増やすにはどうするか?保証料を下げて安くするか、審査内容を緩くして案件を積極的に取りに行くかです。
保証料を下げると案件を増やしても売り上げは伸びませんので、案件確保に動くのでしょうか?でも案件確保に動くと優良ではない顧客まで取りに行くことになります。
もともと審査が緩かった会社が更に緩くするのと、審査が厳しかった会社が審査を緩くするのでは程度が違います。回収担当者が優秀ならばよいですが、ここで回収率は非常に重要です。
結局、保証会社が不況に強いのではなく、回収率を高く維持できる保証会社はいつだって強いのです。
冒頭で紹介した保証会社クライシスではとある保証会社の倒産が不安視されているようです。
具体的にどこの保証会社とは書いていません。仲介業者から最後の砦と言われているくらい審査率が高い会社のようです。私にはどこだかわかりませんが、仮にF社とします。
F社は審査が特に緩いことで有名なので、倒産が不安視されているようです。
実際のところはわかりません。勝手に広まった噂ですのでそのうちなくなると思います。しかし、特定の数社の倒産は常に言われ続けています。
F社に限らずZ社なんかも危ないと言われていますが、やはり根拠はありません。審査が緩いと不良債権が多く、回収できなかった時に経営が傾く可能性があるというのが理屈です。
しかし、忘れてはいけません。会社の経営が傾くかどうかは現金があるかどうかです。現金さえあればどれだけ赤字でも倒産しません。倒産するかどうかは会社の規模でも、売上高でも、自己資本比率でも、審査承認率でもありません。現金があるかどうかがすべてです。
現金があるかどうかというのは、会社の預金や資産がどれだけあるかというのもそうですが、銀行の融資枠がどの程度あるかです。こういう不況なので銀行も貸し渋るはずです。不渡りを出す可能性が高いなら絶対貸さないのが銀行です。
どこかの国のことわざに「溺れている犬は棒で叩け」というものがありますが、まさしくそれです。悲しいかな、決して溺れた犬は助かりません。
保証会社が淘汰されると結局困るのは家主です。こういう危機はみんなで乗り切りましょう。

P.S.
こういう危機なので家賃は払わなくてもよいとかふざけたことを言っている人は保証会社を潰したいのでしょうか
ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
様々な業界で倒産が続出していますが、当然家賃債務保証業界にも波は来ています。そんな中で保証会社クライシスという言葉を見かけました。
保証会社クライシス、保証会社危機ということでしょうか。過去に大手保証会社リプラスが倒産してリプラスショックなんていう言葉がありましたが、それを彷彿とさせる言葉です。
保証会社のリスクとは何か?
保証会社のビジネスモデルはストックビジネスです。保証する案件が多ければ多いほど更新する際の手数料が大きく取れるので保証案件を増やすとビジネスとしては安定します。
しかし、保証案件を増やすということはそれだけ滞納リスクも増えるということです。入居者の一定数が滞納することは想定内ですが、不況が来ると滞納件数は一気に増えます。倒産やリストラが増えるので当然です。
保証会社の損益分岐点を計算する時には、この不況の際の滞納リスクも加味した上で経営判断をしているはずです。
もしここで恐慌が起こったらどうなるのか?普通に考えれば滞納が増えるので立て替えが一気に増えます。お金が無くて立て替えできなければキャッシュアウトで倒産です。立て替えたお金が全然回収できなくても次の立て替え資金がなければ倒産です。
こう考えると保証会社は売上を上げれば上げるほどリスクが大きくなるともいえます。
保証会社は不況に強い?
とある保証会社の営業担当は保証会社は営業に強いと触れ回っているようです。
これは本当ですが、嘘です。(どっちやねん)
家賃滞納が増えると家主側は今後のリスクを減らすために保証会社を使いたがります。そして、引っ越し需要そのものはなくなりませんので保証会社の需要は不況の時に伸びる可能性があります。
問題になるのはキャッシュです。
保証会社の需要が高まり契約件数が増えたとします。でも、不況の時にはより安い家賃を探しますので案件は増えますが客単価は落ちます。景気が良い時には多少無理をしても良い部屋に住む(そして延滞する)人も多くいましたが、不況の時に無理はしません。
入るお金と出るお金を比較して入るお金の方が多ければ問題ありません。客単価が下がるとすると契約数を増やすしかありません。契約数を増やすにはどうするか?保証料を下げて安くするか、審査内容を緩くして案件を積極的に取りに行くかです。
保証料を下げると案件を増やしても売り上げは伸びませんので、案件確保に動くのでしょうか?でも案件確保に動くと優良ではない顧客まで取りに行くことになります。
もともと審査が緩かった会社が更に緩くするのと、審査が厳しかった会社が審査を緩くするのでは程度が違います。回収担当者が優秀ならばよいですが、ここで回収率は非常に重要です。
結局、保証会社が不況に強いのではなく、回収率を高く維持できる保証会社はいつだって強いのです。
不安視されている保証会社
冒頭で紹介した保証会社クライシスではとある保証会社の倒産が不安視されているようです。
具体的にどこの保証会社とは書いていません。仲介業者から最後の砦と言われているくらい審査率が高い会社のようです。私にはどこだかわかりませんが、仮にF社とします。
F社は審査が特に緩いことで有名なので、倒産が不安視されているようです。
実際のところはわかりません。勝手に広まった噂ですのでそのうちなくなると思います。しかし、特定の数社の倒産は常に言われ続けています。
F社に限らずZ社なんかも危ないと言われていますが、やはり根拠はありません。審査が緩いと不良債権が多く、回収できなかった時に経営が傾く可能性があるというのが理屈です。
しかし、忘れてはいけません。会社の経営が傾くかどうかは現金があるかどうかです。現金さえあればどれだけ赤字でも倒産しません。倒産するかどうかは会社の規模でも、売上高でも、自己資本比率でも、審査承認率でもありません。現金があるかどうかがすべてです。
保証会社の淘汰は進むのか?
現金があるかどうかというのは、会社の預金や資産がどれだけあるかというのもそうですが、銀行の融資枠がどの程度あるかです。こういう不況なので銀行も貸し渋るはずです。不渡りを出す可能性が高いなら絶対貸さないのが銀行です。
どこかの国のことわざに「溺れている犬は棒で叩け」というものがありますが、まさしくそれです。悲しいかな、決して溺れた犬は助かりません。
保証会社が淘汰されると結局困るのは家主です。こういう危機はみんなで乗り切りましょう。

P.S.
こういう危機なので家賃は払わなくてもよいとかふざけたことを言っている人は保証会社を潰したいのでしょうか
ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
新型コロナで家賃保証会社はどうなるか?
世間では新型コロナが流行っています。日本全体ではついに1日の感染者数が300人を超えました。世界的に見ると少ないらしいですがただ事ではありません。
新型コロナで倒産、内定取り消し、リストラが蔓延しているようで、不況にもあまり影響されないといわれる保証会社にも影響が出そうな勢いです。
新型コロナで保証会社がどうなるのか、予想してみます。
別に新型コロナに限った話ではないのですが、今回のような緊急事態が起きるとどうなるか。外出自粛になっていますし、言葉は接待などと濁していますがキャバクラ、クラブなどが感染源になっていると報道されている以上、飲み系のお店の売上は軒並み減少でしょう。会社もリモートワークを推奨するところが多くありますので、飲食や物販にも相当の影響がでているはずです。
単純にお店の売上が減少して、しかもコロナの縮小がいつになるのか分からない現状ではリストラも増えます。事実、3月31日付の日経新聞ではコロナ、雇用と生産に影響 有効求人倍率1.45倍に低下とあるように大幅に減っています。

日本俳優連合でも仕事が減ったために貯蓄を切り崩したり、借金をしたりする人が出ていると明らかにしているくらいです。飲食に限らず、予断を許さない状況です。
仕事は明らかに減っていますので、今までの超売り手市場が超買い手市場になるかもしれません。
当然、生活費に困りますので家賃も払えなくなるという人は出てきます。
結果的にはコロナが流行った影響で保証会社が立て替える家賃が大幅に増えることが想定されます。
ここまでは想定内です。コロナに限らず、リスクヘッジのために保証会社を使いますから。コロナとリーマンショックはよく比べられますが、私は少なくとも1点、大きく違うところがあると思います。
リーマンショックの際には下降気味とはいえ経済は回っていました。コロナでは経済活動が大幅に縮小または停止しているように思えます。
保証会社はビジネスモデルとしては保証件数が増えれば増えるほど恐慌が起きた時に保証金額が増えるという点でリスクが増える仕組みです。ただし、恐慌が起きれば家主は先行き不安から保証会社を利用を推進する傾向にありますので売上にはそこまで大きな影響はでない(はず)です。
しかし、コロナで外出禁止の所為でしょうが、賃貸業界そのものが縮小しています。つまり、賃貸借契約の母数が大きく減ったので保証契約も大きく減っています。1月~3月が賃貸業界の繁忙期ですが、日本のコロナと丸かぶりですので、保証会社の売上はかなり厳しいはずです。
売上が厳しいのに立て替えは大幅に増えるということですので、あとは保証会社にどこまで資力があるかです。
なぜか企業の信頼性や安定性に資本金や自己資本比率を見る人がいますが、まったく意味ないです。見るべきなのは現金をいくら持っているか、借り入れがどこまでできるかです。不況が来れば好景気もそのうち来ます。一番危ない時を耐えられれば、また伸びるので。
その意味でJIDのコミットライン30億円は非常に強力です。
好景気のうちに不況の準備をするのは当然ですが、ここまでの恐慌を読んでいたら井坂会長、梅田社長は流石すぎます。
立て替え増は予想の範囲内です。では次に何が起きるのか?
家賃延滞が起きても一般にはすぐに回復はしません。原因次第ですが、失業で仕事がなくなった場合には仕事が見つかってから早くても2ヶ月程度はかかります。むしろ、2ヶ月で回復する人は非常に金銭感覚の優れた方です。普通は半年以上~、場合によては1年以上かかって追いついたり、そのまま追いつかないので夜逃げしたり、裁判されたりします。
その間、保証会社は督促を続けますが、取れないものは取れないので裁判をすることになります。
ここで問題です。裁判をする場合の費用はどうなるでしょうか?
1.大家が全部払う
2.大家が払って後から保証会社が補填する
3.保証会社が全部払う
プラン次第ですが、3つともあります。普通の住居でも裁判をして強制退去までするとなると100万円は普通です。100万では足りないくらいです。
この費用も保証会社持ちなのですが、裁判費用以外にも問題があります。
裁判でも判決が分かれているので一概には言えないのですが、保証業界的には裁判をする前に意図して立て替えを止めて3ヶ月の未納の事実を作ることがあります。
家賃滞納での明渡訴訟は3ヶ月(目安)がないと裁判できないからです。
では3ヶ月滞納を作ったら立て替えは続くのかというとそうではなく、裁判が終わった半年後くらいにまとめて支払いをします。
つまり、家主には9か月以上家賃が払われない期間ができる可能性があります。平時ならともかく、家主は耐えられるのでしょうか?そして裁判費用を家主持ちにする場合、家主は支払えるのでしょうか?
既に裁判をするので立て替えを止められた家主の不安があります。
脱線しますが、リンク先の記事の保証会社は1,000円のQUOカードを配布して新規顧客を取っていたようです。保証会社名は掛かれていませんが、1,000円のQUOカードを配る保証会社として日本セーフティーを思い浮かべました。
なお、裁判の前に家賃の立て替えを止める手法そのものは普通です。しかし、時期が時期なだけに家主からすると、お金がないから立て替えをしないだけではないか?後で立て替えするというが裁判が終わった時に会社は残っているのか?という不安がどうしても残るので問題です。
賃貸業界の繁忙期とコロナの時期被りによる売り上げ減、立て替えの急増の他に、裁判による立て替え停止や家主の不安により保証会社の変更が起きる可能性があります。
つまり、今までは好景気で家賃が遅れなかったのに家賃延滞がこれほど怖いのかと思い知った家主が保証の手厚い保証会社に切り替える可能性です。
今の時点で申し込みをしてくれる顧客は減っていますが、ある意味では現時点では家賃が支払える優良顧客(見込)です。今まで減った売り上げを確保するために他社から案件を取るというのは手法としてはありえます。
少ないパイをみんなで取り合うという意味では群雄割拠の始まりです。
おそらく新規顧客を確保するために審査内容を大きく変えることはないと思います。審査基準を変えることそのものは普通ですが、変え方が極端なら、その保証会社との付き合いを考えた方がよいかもしれません。
審査をあまりにも緩くする場合には目の前の資金確保のための動きに見えますし、審査基準を厳しくしすぎると保証会社を使う意味がありません。
保証会社の取り立てがどう変わるのかは予想がつきません。
取り立てを強化するのはありえますが、厳しくするのは論外です。今回の事で立て替え案件は増えますので普通に回収している保証会社のクレームも増えるかもしれませんが、クレームの増え方が極端だと危ない保証会社の可能性があります。
どことは言いませんが、数年前に超大手保証会社が営業部隊を回収に回していた時期がありました。営業の繁忙期が終わっている以上、支出を少なくすることは考えられます。
これは回答が難しすぎます。
自分にあった保証会社を探すしかありませんが、特定の保証会社に依存しすぎるのはよくないと思います。2社か3社でリスク分散するのがよいのではないかと思います。
なお、こういうことを書くと私にどこがよいのかとメールされる方がいますが、私は特定の保証会社に肩入れしません。この保証会社はどうなのか、ということであればお答えすることがあります。
最後に上場している保証会社4社の株価の推移(直近6ヶ月)です。恐ろしいほどわかりやすいです。




ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
新型コロナで倒産、内定取り消し、リストラが蔓延しているようで、不況にもあまり影響されないといわれる保証会社にも影響が出そうな勢いです。
新型コロナで保証会社がどうなるのか、予想してみます。
新型コロナが流行るとどうなるか?
別に新型コロナに限った話ではないのですが、今回のような緊急事態が起きるとどうなるか。外出自粛になっていますし、言葉は接待などと濁していますがキャバクラ、クラブなどが感染源になっていると報道されている以上、飲み系のお店の売上は軒並み減少でしょう。会社もリモートワークを推奨するところが多くありますので、飲食や物販にも相当の影響がでているはずです。
単純にお店の売上が減少して、しかもコロナの縮小がいつになるのか分からない現状ではリストラも増えます。事実、3月31日付の日経新聞ではコロナ、雇用と生産に影響 有効求人倍率1.45倍に低下とあるように大幅に減っています。

日本俳優連合でも仕事が減ったために貯蓄を切り崩したり、借金をしたりする人が出ていると明らかにしているくらいです。飲食に限らず、予断を許さない状況です。
仕事は明らかに減っていますので、今までの超売り手市場が超買い手市場になるかもしれません。
当然、生活費に困りますので家賃も払えなくなるという人は出てきます。
コロナの影響で家賃立て替え増
結果的にはコロナが流行った影響で保証会社が立て替える家賃が大幅に増えることが想定されます。
ここまでは想定内です。コロナに限らず、リスクヘッジのために保証会社を使いますから。コロナとリーマンショックはよく比べられますが、私は少なくとも1点、大きく違うところがあると思います。
リーマンショックの際には下降気味とはいえ経済は回っていました。コロナでは経済活動が大幅に縮小または停止しているように思えます。
保証会社はビジネスモデルとしては保証件数が増えれば増えるほど恐慌が起きた時に保証金額が増えるという点でリスクが増える仕組みです。ただし、恐慌が起きれば家主は先行き不安から保証会社を利用を推進する傾向にありますので売上にはそこまで大きな影響はでない(はず)です。
しかし、コロナで外出禁止の所為でしょうが、賃貸業界そのものが縮小しています。つまり、賃貸借契約の母数が大きく減ったので保証契約も大きく減っています。1月~3月が賃貸業界の繁忙期ですが、日本のコロナと丸かぶりですので、保証会社の売上はかなり厳しいはずです。
売上が厳しいのに立て替えは大幅に増えるということですので、あとは保証会社にどこまで資力があるかです。
なぜか企業の信頼性や安定性に資本金や自己資本比率を見る人がいますが、まったく意味ないです。見るべきなのは現金をいくら持っているか、借り入れがどこまでできるかです。不況が来れば好景気もそのうち来ます。一番危ない時を耐えられれば、また伸びるので。
その意味でJIDのコミットライン30億円は非常に強力です。
好景気のうちに不況の準備をするのは当然ですが、ここまでの恐慌を読んでいたら井坂会長、梅田社長は流石すぎます。
立て替えが増えるだけでは終わらない保証会社
立て替え増は予想の範囲内です。では次に何が起きるのか?
家賃延滞が起きても一般にはすぐに回復はしません。原因次第ですが、失業で仕事がなくなった場合には仕事が見つかってから早くても2ヶ月程度はかかります。むしろ、2ヶ月で回復する人は非常に金銭感覚の優れた方です。普通は半年以上~、場合によては1年以上かかって追いついたり、そのまま追いつかないので夜逃げしたり、裁判されたりします。
その間、保証会社は督促を続けますが、取れないものは取れないので裁判をすることになります。
ここで問題です。裁判をする場合の費用はどうなるでしょうか?
1.大家が全部払う
2.大家が払って後から保証会社が補填する
3.保証会社が全部払う
プラン次第ですが、3つともあります。普通の住居でも裁判をして強制退去までするとなると100万円は普通です。100万では足りないくらいです。
この費用も保証会社持ちなのですが、裁判費用以外にも問題があります。
裁判直前の家賃立て替えはどうなるのか?
裁判でも判決が分かれているので一概には言えないのですが、保証業界的には裁判をする前に意図して立て替えを止めて3ヶ月の未納の事実を作ることがあります。
家賃滞納での明渡訴訟は3ヶ月(目安)がないと裁判できないからです。
では3ヶ月滞納を作ったら立て替えは続くのかというとそうではなく、裁判が終わった半年後くらいにまとめて支払いをします。
つまり、家主には9か月以上家賃が払われない期間ができる可能性があります。平時ならともかく、家主は耐えられるのでしょうか?そして裁判費用を家主持ちにする場合、家主は支払えるのでしょうか?
既に裁判をするので立て替えを止められた家主の不安があります。
脱線しますが、リンク先の記事の保証会社は1,000円のQUOカードを配布して新規顧客を取っていたようです。保証会社名は掛かれていませんが、1,000円のQUOカードを配る保証会社として日本セーフティーを思い浮かべました。
なお、裁判の前に家賃の立て替えを止める手法そのものは普通です。しかし、時期が時期なだけに家主からすると、お金がないから立て替えをしないだけではないか?後で立て替えするというが裁判が終わった時に会社は残っているのか?という不安がどうしても残るので問題です。
保証会社の勢力図は塗り替わるのか?
賃貸業界の繁忙期とコロナの時期被りによる売り上げ減、立て替えの急増の他に、裁判による立て替え停止や家主の不安により保証会社の変更が起きる可能性があります。
つまり、今までは好景気で家賃が遅れなかったのに家賃延滞がこれほど怖いのかと思い知った家主が保証の手厚い保証会社に切り替える可能性です。
今の時点で申し込みをしてくれる顧客は減っていますが、ある意味では現時点では家賃が支払える優良顧客(見込)です。今まで減った売り上げを確保するために他社から案件を取るというのは手法としてはありえます。
少ないパイをみんなで取り合うという意味では群雄割拠の始まりです。
保証会社の審査はどうなるか?
おそらく新規顧客を確保するために審査内容を大きく変えることはないと思います。審査基準を変えることそのものは普通ですが、変え方が極端なら、その保証会社との付き合いを考えた方がよいかもしれません。
審査をあまりにも緩くする場合には目の前の資金確保のための動きに見えますし、審査基準を厳しくしすぎると保証会社を使う意味がありません。
保証会社の取り立てはどうなるか?
保証会社の取り立てがどう変わるのかは予想がつきません。
取り立てを強化するのはありえますが、厳しくするのは論外です。今回の事で立て替え案件は増えますので普通に回収している保証会社のクレームも増えるかもしれませんが、クレームの増え方が極端だと危ない保証会社の可能性があります。
どことは言いませんが、数年前に超大手保証会社が営業部隊を回収に回していた時期がありました。営業の繁忙期が終わっている以上、支出を少なくすることは考えられます。
保証会社はどこがよいのか?
これは回答が難しすぎます。
自分にあった保証会社を探すしかありませんが、特定の保証会社に依存しすぎるのはよくないと思います。2社か3社でリスク分散するのがよいのではないかと思います。
なお、こういうことを書くと私にどこがよいのかとメールされる方がいますが、私は特定の保証会社に肩入れしません。この保証会社はどうなのか、ということであればお答えすることがあります。
保証会社の株価
最後に上場している保証会社4社の株価の推移(直近6ヶ月)です。恐ろしいほどわかりやすいです。




ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
2020年4月1日、民法改正で家賃保証会社はどうなるのか?
2020年4月1日は民法改正の日です。
世間では「マスクを2枚配る」というエイプリルフールに踊らされているようですが、賃貸業界では民法が改正されたのでテンヤワンヤな状態なはずです。こんな状態で新入社員を迎えて、目を輝かせた新人から「先輩、連帯保証人の極度額って何ですか?」とか聞かれて答えられなかったら先輩として恥ずかしい思いをします。
もしそう聞かれたら、私なら「そもそも連帯保証人と保証人の違いを分かった上で聞いてる?」と質問に対して質問を返す不誠実な方法で煙に巻きます。
では、賃貸業界では民法改正で何が変わったのか、民法改正で保証会社にはどのような影響があるのか、おさらいです。
2020年4月1日の民法改正では次の5つが大きく変わりました。賃貸業界の人は最低限は下5つは押さえておいてください。
今まで連帯保証人は借主が支払わなかった家賃等はすべて連帯して支払う責任がありました。借主がずっと払わなければずっと連帯保証人が支払う責任があります。賃貸借契約はいつまで続くか分かりませんので、連帯保証人は終わりの見えない保証をしなければならなかったのです。
しかし、民法改正により極度額が設定されてからは、連帯保証人が支払うべき合計金額が契約時に決まります。
つまり、賃貸借契約を締結する時に、賃料10万円、極度額100万円と決めておけば連帯保証人はその賃貸借契約における最大支払額は100万円になります。今までは借主が10年支払わなければ1200万円(10万円×12ヶ月×10年)の支払い義務が連帯保証人にありましたが、4月1日以降の賃貸借契約では極度額を定めることが義務です。
これにて連帯保証人の救済措置になります。
反面、連帯保証人がいるから安心という従来のスタンスが大きく崩れます。賃貸借契約が続いているのに連帯保証人が極度額まで支払ってしまったら、それ以上は連帯保証人に請求できませんので家主は泣きます。
そこで家賃保証会社の利用が増えると言われています。保証会社を使うことで家賃が必ず入るので安心というわけです。実は保証会社にも保証上限がありますが、保証会社の場合には早めに回収、早めに訴訟をするので極度額を定めた連帯保証人よりも利用効果は大きいはずです。
ちなみに、極度額をいくらにするのか、何か月分なのかは定められていませんが、18ヶ月~24ヶ月程度が普及しそうです。
今まではなーなーになっていた敷金と原状回復についてもメスが入りました。
賃貸借契約の初期費用で支払う費用には敷金と礼金があります。礼金は最初に支払って終わりですが、敷金は原則的には返ってきます。保証金(デポジット)ですから当然です。
しかし、退去時に部屋が大きく破損している場合には敷金から修繕費を差し引いて返金することはありました。
問題なのは線引きがされていなかったので、家主の判断で勝手に敷金から差し引かれていました。昔から敷金は原則的には丸ごと戻ってくるものですが、特に西日本では敷引償却という名目で敷金は返さない前提の文化がありました。
民法改正によって敷金は返すべきと明文化されました。
同時に原状回復についても触れています。通常使用していれば部屋は必ず劣化します。経年劣化の修繕は基本的に家主負担ですが、やはり今まではなーなーになっていました。
というか、経年劣化なのに容赦なく入居者に修繕費を請求する家主が多かったので明文化されたのだと思います。
このあたりは東京ルール(賃貸住宅トラブル防止ガイドライン)がそのまんまなので、東京は進んでいたわけです。
扱いが難しいのが一部滅失による賃料減額です。
今まで部屋の設備の一部が使えなくなったり、壊れたりした場合には家主に修理するように請求することができました。その上で修理をしてくれ場合には賃料減額請求権が認められていました。
「この部屋はガスが使えないんだから賃料は3,000円減らせ」みたいな請求です。
民法改正後は「賃料減額請求権が認められる」ではなく「当然に賃料は減額」となります。
上で書いた、賃料は3,000円減らせ、みたいな交渉などせずとも当然に賃料は減っているはず、ということです。
具体的に入居者が何をしてくるのかは予想ができませんが、家主側が対応を怠ることで
などが考えられます。賃料の未払いの正当性は多分ないですが、悪質入居者はそれくらいやってきます。
これは連帯保証人に聞かれた時には家主は借主の支払い状況をこたえなければならないということです。家主には返答義務ができました。
連帯保証人に聞かれた際に、返答をしなかったり、返答を先延ばしにしたりすると後日、連帯保証人に請求する時に返答義務を履行しなかったことを理由に返済義務もない、などと主張される可能性があります。
事業用の賃貸借契約の場合、借主には連帯保証人への財産状況などの情報提供義務があります。事業用物件の場合、賃料は高額になりますから連帯保証人には大きな負担を強いることがあります。
しかし、事前に借主の財産や収支状況をきちんと把握し、借主に支払えるのかが疑問であれば連帯保証人にならなければよいので、結果的に連帯保証人の救済につながります。
なお、連帯保証人が借主の財産状況を把握しない契約は無効です。
連帯保証人に提供する情報は次の5つ
民法改正は保証会社に追い風だとずっと言われていました。理由は連帯保証人の負担が今までもよりも少なくなり、連帯保証人を拒否する人が増加する可能性があるからでしょう。
その点、保証会社は審査こそあるもの、基本的には全ての案件を受け入れます。その意味では保証会社に追い風といえます。
問題なのは保証会社によっては審査を厳しくしているので、連帯保証人になりたくないような賃貸借契約を保証会社も審査落ちにしたり、家賃遅延の可能性が極めて低いような優良入居者だけを確保しようとする保証会社が一定するいることです。
保証会社にも大きく分けると3種類あります。
独立系の保証会社は日本セーフティー、Casa、全保連、JID、ジェイリースなどのいわゆる家賃債務保証会社です。
不動産系の保証会社というのはニッポンインシュア(三好不動産)、SFビルサポート(サンフロンティア不動産)、賃住保証サービス(スターツ)など、信販系の保証会社はオリコやエポスなどです。
信販系は保証会社というよりは信販会社が保証サービスをしているだけですので、審査はご自由にどうぞと思います。優良顧客を囲い込みたいのは当然でしょうから。
不動産系の保証会社は親会社とか関連会社の指針で保証するかどうかを決めたり、案件そのものを受けるかどうかを決めますので戦略上分かります。
わからないのは、独立系の保証会社なのに審査を厳しくて間口を狭くする行為です。なんでもかんでも通せばよいわけではないですが、入居者を保証しないならそれは保証会社としてどうなのかなーと思いますけどね。
この数年でTwitterとかでも保証会社の審査落ちたというのを見かけるようになりました。これは氷山の一角ですから、日本には一定数の部屋を借りづらい人がいるということです。
こういう人を保証するのが本来の保証会社と思う次第です。

ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
もしそう聞かれたら、私なら「そもそも連帯保証人と保証人の違いを分かった上で聞いてる?」と質問に対して質問を返す不誠実な方法で煙に巻きます。
では、賃貸業界では民法改正で何が変わったのか、民法改正で保証会社にはどのような影響があるのか、おさらいです。
民法改正で何が変わったのか
2020年4月1日の民法改正では次の5つが大きく変わりました。賃貸業界の人は最低限は下5つは押さえておいてください。
- 極度額の設定
- 敷金返還と原状回復の明文化
- 一部滅失による賃料減額
- 連帯保証人への情報提供義務
- 連帯保証人への財産状況の情報提供義務
極度額の設定
今まで連帯保証人は借主が支払わなかった家賃等はすべて連帯して支払う責任がありました。借主がずっと払わなければずっと連帯保証人が支払う責任があります。賃貸借契約はいつまで続くか分かりませんので、連帯保証人は終わりの見えない保証をしなければならなかったのです。
しかし、民法改正により極度額が設定されてからは、連帯保証人が支払うべき合計金額が契約時に決まります。
つまり、賃貸借契約を締結する時に、賃料10万円、極度額100万円と決めておけば連帯保証人はその賃貸借契約における最大支払額は100万円になります。今までは借主が10年支払わなければ1200万円(10万円×12ヶ月×10年)の支払い義務が連帯保証人にありましたが、4月1日以降の賃貸借契約では極度額を定めることが義務です。
これにて連帯保証人の救済措置になります。
反面、連帯保証人がいるから安心という従来のスタンスが大きく崩れます。賃貸借契約が続いているのに連帯保証人が極度額まで支払ってしまったら、それ以上は連帯保証人に請求できませんので家主は泣きます。
そこで家賃保証会社の利用が増えると言われています。保証会社を使うことで家賃が必ず入るので安心というわけです。実は保証会社にも保証上限がありますが、保証会社の場合には早めに回収、早めに訴訟をするので極度額を定めた連帯保証人よりも利用効果は大きいはずです。
ちなみに、極度額をいくらにするのか、何か月分なのかは定められていませんが、18ヶ月~24ヶ月程度が普及しそうです。
敷金返還と原状回復の明文化
今まではなーなーになっていた敷金と原状回復についてもメスが入りました。
賃貸借契約の初期費用で支払う費用には敷金と礼金があります。礼金は最初に支払って終わりですが、敷金は原則的には返ってきます。保証金(デポジット)ですから当然です。
しかし、退去時に部屋が大きく破損している場合には敷金から修繕費を差し引いて返金することはありました。
問題なのは線引きがされていなかったので、家主の判断で勝手に敷金から差し引かれていました。昔から敷金は原則的には丸ごと戻ってくるものですが、特に西日本では敷引償却という名目で敷金は返さない前提の文化がありました。
民法改正によって敷金は返すべきと明文化されました。
同時に原状回復についても触れています。通常使用していれば部屋は必ず劣化します。経年劣化の修繕は基本的に家主負担ですが、やはり今まではなーなーになっていました。
というか、経年劣化なのに容赦なく入居者に修繕費を請求する家主が多かったので明文化されたのだと思います。
このあたりは東京ルール(賃貸住宅トラブル防止ガイドライン)がそのまんまなので、東京は進んでいたわけです。
一部滅失による賃料減額
扱いが難しいのが一部滅失による賃料減額です。
今まで部屋の設備の一部が使えなくなったり、壊れたりした場合には家主に修理するように請求することができました。その上で修理をしてくれ場合には賃料減額請求権が認められていました。
「この部屋はガスが使えないんだから賃料は3,000円減らせ」みたいな請求です。
民法改正後は「賃料減額請求権が認められる」ではなく「当然に賃料は減額」となります。
上で書いた、賃料は3,000円減らせ、みたいな交渉などせずとも当然に賃料は減っているはず、ということです。
具体的に入居者が何をしてくるのかは予想ができませんが、家主側が対応を怠ることで
- 入居者が勝手に減額した賃料で支払ってくる
- 規程の賃料を支払っていたが後日、裁判で返還請求される
- 法律を盾に賃料の未払いを正当性を主張してくる
などが考えられます。賃料の未払いの正当性は多分ないですが、悪質入居者はそれくらいやってきます。
連帯保証人への情報提供義務
これは連帯保証人に聞かれた時には家主は借主の支払い状況をこたえなければならないということです。家主には返答義務ができました。
連帯保証人に聞かれた際に、返答をしなかったり、返答を先延ばしにしたりすると後日、連帯保証人に請求する時に返答義務を履行しなかったことを理由に返済義務もない、などと主張される可能性があります。
連帯保証人への財産状況の情報提供義務
事業用の賃貸借契約の場合、借主には連帯保証人への財産状況などの情報提供義務があります。事業用物件の場合、賃料は高額になりますから連帯保証人には大きな負担を強いることがあります。
しかし、事前に借主の財産や収支状況をきちんと把握し、借主に支払えるのかが疑問であれば連帯保証人にならなければよいので、結果的に連帯保証人の救済につながります。
なお、連帯保証人が借主の財産状況を把握しない契約は無効です。
連帯保証人に提供する情報は次の5つ
- 賃借人の財産状況
- 賃借人の収支の状況
- 賃借人が賃貸借契約の他に負担している債務の有無並びにその額
- 賃借人が賃貸借契約の他に負担している債務がある場合、その支払状況
- 賃借人が家主に保証金などの担保を提供するときはその事実および担保提供の内容
民法改正は家賃保証会社には追い風なのか?
民法改正は保証会社に追い風だとずっと言われていました。理由は連帯保証人の負担が今までもよりも少なくなり、連帯保証人を拒否する人が増加する可能性があるからでしょう。
その点、保証会社は審査こそあるもの、基本的には全ての案件を受け入れます。その意味では保証会社に追い風といえます。
問題なのは保証会社によっては審査を厳しくしているので、連帯保証人になりたくないような賃貸借契約を保証会社も審査落ちにしたり、家賃遅延の可能性が極めて低いような優良入居者だけを確保しようとする保証会社が一定するいることです。
保証会社にも大きく分けると3種類あります。
- 独立系の保証会社
- 不動産系の保証会社
- 信販系の保証会社
独立系の保証会社は日本セーフティー、Casa、全保連、JID、ジェイリースなどのいわゆる家賃債務保証会社です。
不動産系の保証会社というのはニッポンインシュア(三好不動産)、SFビルサポート(サンフロンティア不動産)、賃住保証サービス(スターツ)など、信販系の保証会社はオリコやエポスなどです。
信販系は保証会社というよりは信販会社が保証サービスをしているだけですので、審査はご自由にどうぞと思います。優良顧客を囲い込みたいのは当然でしょうから。
不動産系の保証会社は親会社とか関連会社の指針で保証するかどうかを決めたり、案件そのものを受けるかどうかを決めますので戦略上分かります。
わからないのは、独立系の保証会社なのに審査を厳しくて間口を狭くする行為です。なんでもかんでも通せばよいわけではないですが、入居者を保証しないならそれは保証会社としてどうなのかなーと思いますけどね。
この数年でTwitterとかでも保証会社の審査落ちたというのを見かけるようになりました。これは氷山の一角ですから、日本には一定数の部屋を借りづらい人がいるということです。
こういう人を保証するのが本来の保証会社と思う次第です。

ご意見は info@hoshokaisha.jp まで