元・家賃保証会社社員が本気で何でも答えたら

家賃保証会社に関してネットには嘘や誤解が多すぎる。だから自分が答える!

家賃保証委託料はオーナーが支払うもの???

不動産投資コンシェルジュというサイトがあります。

そこに家賃債務保証業者の登録制度スタートでオーナーの家賃回収が楽にという記事を見つけました。

この記事の中には
家賃保証会社のサービスは、オーナーが保証料を支払うことで、入居者が家賃を滞納したときに立て替えをしてくれるというものです。
というものがあります。

私は2つ思いました。1つは家賃保証会社のサービスは立て替えるという箇所。もう1つはオーナーが保証料を支払う、という箇所です。

家賃保証会社の業務は立て替えることじゃないというのは私は言い続けていますので、この際置いておきます。

果たして家賃保証会社の保証料はオーナーが支払うものなのでしょうか?

経験上、家主が払うということはあります。家主側の理屈では、入居者に家賃保証会社をつけてくれと指定しているのは自分なので保証料は自分が払う、ということらしいです。

まー、少数派ですよね。普通は入居者が支払います。保証会社としてはどちらからお金が入っても同じではありますが、大部分が入居者に請求するのに一部だけ家主に請求というのは間違いの元なので統一して欲しいですね。

しかし、圧倒的少数派の家主が保証料を払う派のはずが、この記事では当然のようにオーナーが支払うとあります。これは地域差があるということだろうか、会社によってそこまで割合が違うということだろうか、単に間違えただけだろうか。

あまり無いケースではありますが、賃借人と賃貸人を書き間違えるケースはあります。しかし、はっきりとオーナーとは書き間違えないと思いますけどね。

もし、自分のエリアでは圧倒的にオーナーが保証料を支払うというケースが多いという方がいらっしゃいましたらコメントかメールかください。

ちなみに記事の下のほうにある負債1億円で2017年12月に倒産した兵庫の保証会社というのはアペックスグループのことです。

少数派とはこういうこと、バームクーヘンも大して食われへん


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家賃保証会社ランキングとは何なのか?

家賃保証会社ランキングというものがあります。

すべてがランキングというわけではないですが、一例では下記のようなものです。

【2018年最新版】審査甘いランキング!
(レント君が斬る!誰も知らない家賃保証会社の有効活用法!!より)

審査のゆるい賃貸保証会社(大手5社)
(ガリ勉ガリクソンより)

【25社を徹底比較】家賃保証会社一覧
(不動産会社・オーナーさんの強い味方 家賃保証会社を徹底調査より)

保証会社おすすめランキング【2019年版】
(Edge:株式会社エスタス管財より)

【全国版】厳選!実績豊富な家賃保証会社一覧リスト
(家賃トラブルを未然に防ぐ!家賃保証会社紹介サイトより)

他にも探せばまだまだ出てきます。ランキングでなくとも、家賃保証会社一覧というものも多数存在します。

しかし、上記をよくよく見ればなんとなくわかりますが、おもしろいですね。

全て推測ですが、上記5つの中で2つは運営が同じです。2つは家賃保証会社が意図して作っています。1つはパクリです。そうすると何が真実なのかわからなくなってきますね。

ただ、私が言いたいのは運営が同じだから悪いとか、自演だから悪いとか、パクっているから悪いというわけではありません。

根拠もないのに意図して自社に誘導したり、真実でないことを真実と書くことが悪いと言っています。そういう意味では上記5サイトはすべて信用できるサイトです。

なぜなら根拠をちゃんと書いていて、その根拠に照らしてみれば正しいランキングだからです。(一部怪しい内容がありますが、殊更に批判する内容でもありません。)

ただ、1点だけわからない点があります。無借金経営を前面に出しているのが意図しているのか、他にアピールするところがなかったのか、他に何か理由があるのかがわかりませんが、無借金経営はそこまで良いところではありません。

もちろん、借金はない方が良いに決まっています。ただ、昔から無借金経営は良い、悪い論争が続いています。

例えばです。

多くの社長が憧れる「無借金経営」は本当に素晴らしいのか?
(幻冬舎ONLINE)

【無借金経営】の4つのメリット、3つのリスク
(税理士事務所 TMコンサルティング)

無借金経営で会社設立するのってホントは良いこと?悪いこと?
(税理士法人きわみ事務所)

どれも読めばわかりますが、無借金経営には無借金経営の良さがあり、借り入れには借り入れの良さがあります。というよりも、借金とか借り入れとか言ってしまうから悪い印象を受けるだけであって、借金ではなく単に投資になるのだと思います。

黒字倒産という言葉の通り、たとえ帳簿上では黒字であっても現金がなければ会社はそこで終わりです。そして本当に終わりの直前に借りようと思ってもお金を貸してくれるところはありません。そういう意味では借り入れのありなしが重要ではなく、借り入れの返済見込みとか経営状況が判断基準になるはずです。

なぜそこを書かない!?と思います。

嘘か真実か、夢現


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家賃保証初回委託料という不思議な言葉、マイナビはいい加減にして欲しい

マイナビが、また、不思議なことを書いています。

また、というのは昨年の10月にはマイナビ賃貸でも残念。一方、プレジデントはすばらしかった!、12月には家賃のクレジットカード払いのメリット・デメリットでも書いていますが、マイナビの記事は相変わらず不思議です。

昨日の記事に賃貸の初期費用にある「家賃保証初回委託料」って何?というものがあります。

業界人ならこの時点で不思議だなと思うかもしれません。

「家賃保証初回委託料」とはあまり使いません。ただし、初回委託料や保証委託料、初回保証委託料であれば聞いたことがあります。たぶん、このことを言っているのだと思いますが、相変わらず外部ライターに書かせてアップ前に社内チェックをしていないのだと思います。
※とある超大手不動産仲介サイトでは使っています。

ですが、少数派だろうが、書き間違いだろうが意味は通じますので大した問題ではありません。

話は続きます。
家賃保証の仕組みには2種類ありますが、ひと言でいうなら、部屋を借りている人が家賃を払えなかったとき、家賃債務保証会社がいったんその分を立て替え、大家さんに支払います。ただ、払わなかった家賃分の支払いが免除されるわけではなく、後日、家賃債務保証会社から請求されるので、借り手は家賃債務保証会社に支払います。

いわば、連帯保証人を用意する代わりに、保証料を払うという仕組みです。家賃債務保証という「サービス」を購入することになるので、利用しなかったからといって退去時にお金が戻ってくることは、残念ながらありません。

上記文章を読んで、私は思ったことは2つです。
  • 家賃保証の仕組み2種類とは何か
  • 家賃債務保証を利用しなかった、とは何か


家賃保証の仕組み

マイナビの記事には一切説明がありませんので、読者が混乱するだけだと思います。何も書いていないので想像の域を出ませんが、おそらく家賃保証の仕組み2種類というのは代位弁済の方法のことです。

1つ目は、入居者が月末の家賃を支払い忘れた(振り込み忘れや引き落としできなかった)場合、管理会社が入金チェックをして家賃が入っていなかったことを確認してから家賃保証会社に家賃延滞報告をします。家賃保証会社では、この家賃延滞報告が届いてから家賃を立て替えます。

2つ目は、家賃保証会社側による口座振替です。これは保証会社によってサービス名が違い、収納代行とか集金代行とか決裁代行とか言ったりしますが、どれもやっていることは同じです。この場合には家賃保証会社側で口座振替会社を用意して入居者の口座から引き落としを行います。そして、毎月家賃保証会社から契約者全員分の家賃を管理会社に振り込みます。だから管理会社側には家賃遅れがありません。当然、家賃延滞報告の必要もありません。

この2種類のことを言っているのだと思います。

家賃債務保証を利用しなかった

これについては意味不明です。利用しなかったとしてもお金が戻ってくることはないと書いていますが、契約している時点で利用しています。家賃保証会社の利用用途はさまざまですが、1例でいうと、連帯保証人を用意する代わりに家賃保証会社を利用しているので、契約した時点で利用しないなんていうことはありません。

たぶん、書いているのは家賃保証会社と契約しているのですが、「立替をしてもらわなくてもお金は返ってこない」ということだと思います。家賃が遅れない人からすると一見無駄なお金ですが、管理会社側は常にモンスター入居者のリスクを警戒しないといけませんので、無難に審査を通すためには無駄ではない費用です。

そういうわけで家賃保証会社と契約している時点で利用していないはありえないのですが、こういうことを書く根底には家賃保証会社の業務が家賃を立て替えることだと誤解されているからだと思います。保証会社の仕事は「保証すること」ですのでお忘れなく!

家賃保証会社と契約する意味については過去に3回に分けて書いていますのでそちらをどうぞ
保証会社と契約する意味はあるのか? part1

保証会社と契約する意味はあるのか? part2

保証会社と契約する意味はあるのか? part3


家賃保証会社も楽じゃない


毎回書きますが、マイナビは大手メディアとして、読者に理解しやすい、読者に誤解されない、正しい情報を発信して欲しいです。

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改善報告書からは真実が見え隠れする?だから公式見解はおもしろい!

一昨日、改善報告書がおもしろいという記事を書きましたが、私の思っていた以上に反応が多かったです。それだけ気にされている方が多いのだと思います。

元々、回収率が高すぎました。立替額の98%程度を回収していると公式発表がありますが、業界的にはありえない数値です。もっとも、数値の根拠となる立替額、回収額、計算式などは非公開でしたので多少の数字のトリックはあったのでしょうが、それにしても高い数値です。

改善報告書の中身に触れていますが、ポイントは下記5点です。

  • 計算方法を、取れない人からは取れないと決めた
  • 取り立て不能理由は死亡や破産
  • 九州で営業していた頃は回収率は高かったが、全国展開したら低くなった
  • 九州の頃は連帯保証人がいた
  • 短期的な延滞を回収し、中長期延滞は放置していた


計算方法を取れない人からはとれないと決めた
取り立て不能理由は死亡や破産


これは夜逃げした人の分を回収不能としたと解釈できます。報告書には取り立て不能理由を死亡や破産としていますが、割合的に死亡や破産は非常に少数です。断言しますが、死亡や破産の数値を予想数値で高めに出したとしても貸倒引当金の再計算をしなおさなければならない事態にはなりません。

九州時代は回収率が高かった

これは地方で創業した家賃保証会社にありがちな話です。今でも法律の縛りはありませんが、以前は法律どころか自主ルールや自社コンプライアンスもありませんでした。回収方法についてはノールールでした。

失礼な言い方ですが、家賃を遅れている人にも知識が無くも相当無理やりな回収をされても仕方がない、という風潮がありました。それが全国展開すると売上額、件数は圧倒的に一都三県に集中します。要は東京の比率が極端にあがります。

東京での延滞と地方での延滞の違いは滞納者側の知識量です。これは圧倒的に違います。

雑な言い方ですが、東京の家賃滞納者はずるがしこいです。家賃が遅れたことが悪いと認識しつつも強靭な取立てには果敢と立ち向かいます。

過去に家賃保証業界全体が追い出し屋と言われていた時期がありましたが、この時期はちょうど地方創業の家賃保証会社が東京に進出した時期と重なります。つまり、地方で無理やり回収していた保証会社が稼げると思って東京に行って同じ事をやったらあっという間にジャーナリストのエサになったというわけです。

ただし、これは強靭な回収をした保証会社側が悪いです。

九州時代にはどんな方法をとっても回収した、それが東京に来て悪化したというのはこういうことです。そもそも回収率が悪化といいますが、現時点でも回収率は非常に高い水準を保っています。これは回収率の計算方法が独自だったということに他なりません。

九州時代には連帯保証人がいた

これは回収率にはそれほど影響しません。本来は連帯保証人は、その立場上、家賃が遅れたら問答無用で即支払いをしなければなりません。しかし、実際には連帯保証人であっても支払いをしない人は物凄く多いです。だからこそ保証会社が台頭してきました。

ただ、払う気がないとは言っても連帯保証人がいる限り請求はできますので、前述の通り、どんな手段を使ってでも回収していたことは想像にかたくありません。

短期的な延滞を回収し、中長期延滞は放置していた

家賃回収は初動がすべてと言っても過言ではないほど重要です。遅れた人に対して即行動することが回収率の向上に繋がります。それがわかっているので保証会社は家賃滞納に対して即行動します。これが短期的な延滞を回収する実態です。

そして、遅れてすぐ動いても回収できなかった場合、次月になると新しい家賃延滞が来ますのでそちらを優先して動きます。そうすると遅れ続けるほど回収行動を取らなくなる傾向にあります。結果、中長期で家賃滞納が続くことになります。

では長期間回収できなかった場合、保証会社は何をするのか?

これは3つしかありません。

  1. 裁判をして合法的に退去させる
  2. どんな方法を使ってでも退去させる
  3. 家賃滞納が続くがそのままにする

今後、動きに注目です。

仮に、訴訟費用がかさんだなどというレポートが公式から出たら要注意です。今まで非常に高い回収率を保ってきた会社です。これは、裁判をほとんどしたことがないと想像できます。だから今まで貯まりに貯まった回収できない人の分を新しい計算方法で貸倒引当金として計上し、更に裁判費用がそれだけ出るということです。

1回の裁判費用は物凄く掛かります。裁判は長引けば長引くほど費用が掛かります。

このあたりを報告書をおもしろいと書いたわけです。

しかし、確かに業界人でもなければあの報告書を読んで上の考えには至らなかったかもしれません。

株価は大きく下がったが、これ以上は下がら・・・ないと思うけどなぁ


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ジェイリースが出している東京証券取引所への改善報告書がおもしろい

ジェイリースが東京証券取引所への改善報告書を出しています。

読んでみましたがずいぶんと面白いことを書いていましたのでご紹介いたします。

そもそも、なぜ東京証券取引所に改善報告書を出しているかというと、貸倒引当金の処理を修正したら過去の決算情報も変わったので修正した決算情報を出したのですが、上場企業だと単に「修正しました」では済まないようです。

私は会計処理には詳しくありませんので推測ですが、決算情報が変わると株価に影響するからではないでしょうか。良い決算内容であれば将来への期待から株式が買われる、つまり会社が儲かることになり、悪い決算内容であれば不安から株式が売られる。

ジェイリースは意図してはいなかったのでしょうが、株価を操作したという疑いが持たれたので話が大事になっているのだと思います。真偽は分かりませんが、将来的なことを考えると貸倒引当金の処理は早めに修正したほうがよいに決まっていて、ジェイリースも上場している、しかも大分県出身の期待の星ですから、今損害が出たとしても将来のために断行したのだと思います。

さて、冒頭で紹介した改善報告書をご覧になれば内容はすべて書いてありますが、内容が長文です。一般消費者に読まれることを想定して書いている文章ではありませんので抜粋して解説いたします。

端的に3行でまとめると

立替額に対して引当金が少ないので心配です。
だから今までのやり方を変えました。
原因は認識が足りなかったせいです。


という内容です。雑すぎるのでもうちょっと詳しくやります。

ジェイリースは家賃保証会社ですので、入居者を保証しています。だから、もし入居者に家賃延滞があったらジェイリースが家主に家賃を立て替えます。その後、入居者に連絡を取って回収するのですが、時には回収できないことがあります。

この立て替えた家賃のことを報告書内では「代位弁済立替金」とよび、回収できなかった家賃を貸倒引当金として処理しています。

この回収できない金額、貸倒引当金の計算方法が元々は
債権の発生期間別(毎月の賃料等に係る代位弁済のそれぞれの発生日を基準とする)で区分し、貸倒実施による直接償却をもとにした貸倒実績率を用いて回収不能見込み額を算定
とあり、新しい算定方法は
債務者別(同一顧客に対する複数の債権を名寄せし、その中で最も古い債権の発生日を基準とする)で区分し、貸倒実施による直接償却及び個別引当金の設定による間接償却をもとにした貸倒実績率を用いて回収不能額を算定
とあります。

ええ、読んでも分かりません。私にも分かりませんが、経験上合理的に貸倒金に引き当てることを考えると、元々の計算方法は家賃が発生して一定期間が過ぎたものを貸倒引当金として処理していたが、新しい計算方法では、そもそも回収できない人からは回収できないものとして予め処理しておくことを追加するというように読めます。

報告書では更に続き、今回の問題の発生要因に触れています。体制と知見が不十分であったと書いていますが、その付近に気になる記述があります。
九州エリアにおいては、当社との保証委託契約において連帯保証人を付けることが自然と行われていたこともあり、代位弁済立替金の回収率が高かったこと、また債権回収に対する人員体制も十分であったことから、非常に高い回収率を維持できておりました。

そして、東京、大阪等への都市部への進出により売上は伸びたものの、代位弁済立替金も急増したということです。分析をすると以下の3点が問題として出てきた。
  • 連帯保証人がつかなくなった
  • 人員が不足した
  • 回収が楽な短期延滞から回収していたため、中長期延滞は後回しになっていた
私は同業ですから、ここまで読んで思いました。

ああ、ジェイリースはやっていたんだ

と。 何をやっていたの?と思った方、やっていたというのはやっていた、という意味です。

なお、報告書内では代位弁済立替金の取り立て不能理由として、賃借人の死亡や破産と書いていますが、これは、もう、そういうことです。

証券取引所に提出している書類ですから、文章は堅くなるといいますか、俗っぽい書き方はしないのが通例です。だとしても、この書き方は意図的に書いているとしか思えません。うーん、言葉の言い換えってすごいですね。

しかし、考えようによっては今の段階で問題点を出して改善できればまだまだこれからということです。

上場するって大変ですね


うーん、おもしろい。

ちなみに報告書の後半は読んでいても全くおもしろくありません。

何を言っているのかわからない方、詳細を知りたい方はメールをください。
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借主に代わって家賃を立て替える、のは家賃保証会社の業務ではない!

いつだったか、家賃保証会社の審査に通りそうもないときには、自分の誠実さをアピールすれば審査に通る、わけないでしょ、みたいな記事を書きました。

今日もまた、引越しの記事を書いています。引越しの際に家賃保証会社が必須なこともあると書いていただけるのは大変ありがたいのですが、
保証会社とは、借主が家賃の滞納などを行った際に借主に代わって家賃を立て替える会社のことだ。
と書いているのはいただけません。

家賃保証会社は、保証することが仕事です。決して家賃滞納があったときに立て替える会社ではありません。不動産会社さんでも勘違いされている方が多いですが、立て替えているのは結果論であって、保証しているから立て替えているんです。生命保険の会社のことを「契約者亡くなったらお金を払う会社」とは言わないのと同じです。

このあたりは残念ですねー。2019年も私は「家賃保証会社の仕事は立て替えることじゃない」といい続けます。

なお、紹介した記事では
敷金とは、借りた物件の修繕費用や、家賃滞納時の補填に使われるお金だ。
と書いているところを見ると、このライターはあまり不動産知識を持っていないようです。

ですが、YOSCAというライティング会社の記事なので、こんなもんでしょう。

ガジェット通信はYOSCAがお好きらしい


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フォーシーズが新サービスをはじめたらしいが、一風変わりすぎて何がしたいのか分からない

フォーシーズというオフィス系に強い家賃保証会社があります。このフォーシーズ、他の保証会社と比べてもだいぶ特色がある独自路線なのですが、ホームページを見るとまた新しいことをはじめたようです。

倉庫・工場・貸地探しというサービス?なのですが、正直よく分からない。

元々「お部屋探し」と「オフィス・店舗探し」というサービスがあり、家賃保証会社が不動産賃貸業もやっていて、部屋を探せるのかと思いきや、地域から不動産会社を探せるという機能があるだけです。

この機能の趣旨がどこを見ても書いていないので何をしたいのか分からないのですが、おそらく、今の時点でフォーシーズと契約している入居者が次回も使ってもらえるように、提携している不動産仲介を探せる機能なのだと思います。実際、引っ越した際に再度使うことで割引があるとホームページにあります。

しかし、悲しいかな。家賃保証会社を入居者が選ぶようになるのはまだ先の話。実際には不動産会社が家賃保証会社を指定しています。本当は入居者が選べるようになると悪いところは淘汰されるので良いと思うんですけどね。

さて、たぶん、そんな提携不動産会社を調べることができる機能ですが、通常の住居とオフィス系以外に倉庫、工場、貸地も始めたようです。相変わらずマニアック路線です。

倉庫も工場も貸地も普通の家賃保証会社は保証しない分野です。保証しないというよりはリスクが高すぎて保証したくないし、利益が出づらい分野だからだと思います。

一般的には倉庫や工場は家賃単価が高めなので、契約時の保証料は高めです。しかし、一度家賃が遅れた時が大変です。一個人の家賃延滞の場合には一般的には次に給与で払えます。しかし、法人の家賃延滞があったときには、次の支払いがいつになるのか確定しないことが多いからです。

たぶん、戦略的に他の保証会社が取らないところを取ることでリスク分散して多少の延滞があってもプラスになるようにしているのだと思います。そのあたりが功を奏しているのでしょうが、実績ページを見るといい感じで右肩上がりです。

右肩上がりなのは家賃保証会社は大体右肩上がりなのですが、フォーシーズの場合はオフィスや工場などの高額帯を取ってのことだから真似ができない。

そして、工場や倉庫の最大のリスクは訴訟になったときだと思います。一般的な住居では家賃滞納があり裁判をした場合、相手が出ていかなければ立ち退きの強制執行を行います。いわゆる、強制退去です。荷物は専門の業者が運び出して入居者に渡すか処分するかします。

工場の場合、通常では考えられないような備品があったり、什器があったり、薬剤があったりするので、普通、怖くて手が出せない分野です。そのあたりのリスクまで背負っているのでやはり真似できない。

ちなみに冒頭で独自路線と書きましたが、フォーシーズはオフィス系で強いというのはもちろん、家賃の上限額を定めず、家賃の立て替え回数を定めず、審査の承認率は98%以上でいわゆる保証ブラック以外は全て通るとまで噂されている会社です。広告は常人には理解しがたいものを出します。

ちなみに一般的な家賃保証会社の審査承認率は高くても8割~9割です。ほとんどの人は通りますが、それでも割に合わない人は審査に通りません。98%を公言している保証会社のはフォーシーズとアドヴェントくらいです。

ちなみのちなみに無借金経営を前面に出していますが、借り入れはない方がよいけれど、借り入れがあることは何も悪いことではないので、どこまで響くかは微妙です。そういう意味では、他の保証会社とはやり方も主張もまったく違うので独自路線です。

ちなみのちなみのちなみに、ケーシーズという名前が似ていますがフォーシーズとまったく関係ない消費者支援機構と猛烈に揉めているらしいです。

このケーシーズはかなりのアンチ保証会社のようで、今まで日本セーフティー、Casa、JIDなど数多くの家賃保証会社に申し入れという名の申し入れを行い、相手にしていられないので申し入れを受け入れられていますが、両者まったく引く気がないらしく2016年の話を、本日の時点でもまだ争っています。

この争いについては、私も過去に少し触れていますので気になる方はどうぞ。

喧嘩するほど仲がよいとは言いますが、これは完全に仲が悪い例ですね。

戦略的に独自路線なのか、隙間を探して独自路線なのか


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2019年、家賃保証会社はどう変わるか?

2019年ももう半月が経ちます。家賃保証会社の新年は、年末の支払い不履行の対応に追われることになるのですが、年始早々、管理会社から家賃滞納の報告が続々と届きますので、1月初旬は回収部隊は大忙しです。

そんな新年ですが、2019年に家賃保証会社業界での動きを予想してみます。

  1. 国土交通省の家賃債務保証業者登録制度
  2. 家賃保証会社の統廃合
  3. 電子署名の導入
  4. 家賃保証会社 対 信販会社の激化

1.国土交通省の家賃債務保証業者登録制度
2017年に登録受付を開始し、2018年の1月から登録が徐々に始まりました。現在では58社が登録しています。

もともと登録したところでほとんど意味をなさない形だけという意味合いの強かった登録制度ですが、家賃保証会社は全国で推定150社ですので3割は参加していることになります。大手はほぼ登録していますので、2019年は家賃債務保証事業者協議会と連携(?)して何かしてくれそうです。と期待します。

何かしてくれないと何のための制度なのか分からず、税金の無駄遣い感が出てきます。2018年は登録家賃保証会社を増やす年、2019年から始動、と信じたい。

2.家賃保証会社の統廃合
2018年はリーガル賃貸保証の買収アレモの買収と新しい風が吹きそうな統合が進みました。

また、2018年11月下旬にはハウスドゥが家賃保証業界に参入するなど大きな動きが見られそうです。おそらくこの統廃合や新規参入は2019年も続くと思われます。

家賃保証業界は儲けにくい業界だと思いますが、今は民法改正もあり波に乗っています。そして、期待はでき、市場は非常に大きいはずなのに超大手が参入していません。業界最大手クラスでも売上100億円程度ですから、適当な保証会社数社を買収してシステマチックにお金に変えるIT企業なんていうのが入ってきても不思議ではありません。

また、不動産業界的にも保証会社の認知がだいぶ進んでいますので、普及率という意味では申し分ないです。保証会社がストックビジネスということを考え、初期投資をいくらか入れてブーストを掛けて数年で黒字化、というのはぜんぜんありうる線だと思います。

たぶん、今までのような不動産会社系発の保証会社ではなく、まったく違う業界が目をつけて参入してくると思います。

3.電子署名の導入
不動産業界は完全に紙媒体の業界です。これはIT化が遅れているというのもありますが、法律の縛りがあるのでどうしても紙でしか対応ができないというのがあります。

しかし、家賃保証会社は関係がありません。世間の波に乗ってIT化が進むことは十分ありえます。

2018年11月にはキマRoom!Signコネクトというのが出てきましたが、こんな感じで電子化が進むと思います。家賃保証会社と入居者の連絡がLINEみたいにチャットになったり、クラウドシステムが発達して家賃保証会社と不動産会社とのやり取りが利便性が上がったりというのが考えられます。

というよりも、そうしないと新規参入してきたIT系の保証会社が出てきたときに対抗できなくなります。

4.家賃保証会社 対 信販会社の激化
つまり、クレジットカードでの家賃支払いが普及してくると思われます。

クレジットカード払いはポイントがたまるというメリットはありますが、デメリットもそれなりに大きいです。そのあたりをどうアピールして売ってくるかですが、信販会社からの売り込みは激化し、家賃保証会社のシェアを奪ってくる可能性が高いです。

可能性が高いっていうか、数年前から動きはありますけどイマイチな動きだったように思います。ですが、家賃保証会社側がクレジットカードと保証をセットにして売り出し始めたので信販会社も負けじと新サービスを出すのではないかと。

実際に出すかどうかは分かりませんが、入居者にとって良いサービスが出ることそのものは良いことです。

問題なのはクレジットカードが出てくることで信販会社だけが得をする、不動産屋だけが得をするというのが出てこないかが心配です。

ちなみに、クレジットカードとのセット商品で家賃保証会社の利益はほとんど出ません。それはカード会社の手数料が厳しすぎて利益が出せないからです。この手数料の高さが家賃のカード払いの普及に待ったを掛けていたと思うのですが、最近ではずいぶんと下げているようですので、油断はできません。

IT系の恐ろしいところは出てきたサービスに追いつけないこと


ざっと思いついたのがこんな感じの4つですが、また、面白い情報が入ったらお知らせいたします。

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日管協短観2018年度上期データ。家賃保証会社利用割合は95.33%!機関保証への加入必須割合は78.7%!

日管協短観2018年上期データが公開されています。

管理会社1,251社に送って戻りが153社(回答率12.2%)ですから戻りは悪いように見えます。しかし、これだけまとまった資料は貴重だな、といつも思います。

この短観を見ると家賃保証会社の利用割合という項目では

全国:97.50% → 95.33%

という数字が見えます。不動産会社はほぼ家賃保証会社を使っているということですね。しかし、2.17%とはいえ利用率が下がっているのは解せません。

私の立場上というのもありますが、家賃保証会社を使ったことのある不動産屋は家賃保証会社を使い続けると思います。もちろん、保証会社を乗り換えることはありますが、どこかしらの保証会社を使うはずです。

なぜならある一定以上の規模になると家賃滞納があった際に1件1件対応しきれないからです。

保証会社を利用せずに家賃滞納をすべて自社で回している管理会社も稀にありますが、審査をきちんとしているために滞納率が極端に低いか、回収専用の部署があるか、根性論で回すかのどれかだと思います。

それだけ家賃滞納がたくさんあると手に負えなくなります。ときどき、家賃滞納まで対応するのが管理会社の仕事だ、という方がいますが、家賃は決められた日までに振り込むのが契約なのに契約違反した方の面倒まで管理会社がみないといけないのがどうかしているのです。

利用率が下がったのを見て最初に考えたのは、不動産屋の高齢化です。夫婦や家族で経営している不動産屋の場合、管理まで手が回らなくなり縮小したり、仲介のみに専念したりするために保証会社の利用がなくなったのではないか。

そしてもう1つ考えたのは、家賃のクレジットカード払いにやられているのではないか、です。

家賃をクレジットカードで支払うとしても家賃滞納が続けばカードでの支払いはできなくなりますから管理会社で対応しなければならないのは変わりません。

しかし、短観によると2ヶ月以上滞納率は1.3%です。入居者の98.7%は家賃滞納しないか、滞納しても2ヶ月以上はたまらないということです。

家賃をクレジットカード払いにしておいて、カード支払いもできなくなってから退去交渉、裁判を自社で回しているだとしたら、考えようによってはありです。裁判のノウハウまであればですけど。

そして、短観には機関保証への加入必須割合が78.7%となっています。家賃保証会社ではなく機関保証という言い方が気になります。クレジットカードのことは機関保証とは言わないと思いますが、保証人代行のことをさしているのだろうか。しかし、どちらにしても78.7%という数字はほぼ家賃保証会社のことでしょうから8割弱は保証会社必須というのは大きいですね。

統計資料というのは貴重です


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リーガル賃貸保証、GAテクノロジー、イタンジの本社が変わるそうです。

リーガル賃貸保証の本社が変わる、その際にGAテクノロジーズイタンジも本社が変わるそうです。

最初、なぜイタンジ?と何を言っているのか分かりませんでしたが、そういえばGAテクノロジーズは昨年10月1日にイタンジを子会社化、11月1日にリーガル賃貸保証を子会社にしたのでした。

確かに昨年、イタンジがどこかの子会社になったなーとかいう記事を見た気がします。そして、それとは別にリーガル賃貸保証が子会社化していますのでGAテクノロジーズは本気のようです。イタンジは不動産屋向けのバッキバキのIT会社です。家賃保証会社であるリーガル賃貸保証と組んで賃貸業界に変革を起こしそうですね。

確か、目指しているのは賃貸3.0とかいうインダストリー4.0みたいなやつですね。賃貸1.0が紙媒体の不動産広告、賃貸2.0がポータルなどの不動産仲介、賃貸3.0が完全WEB完結でAIとかビックデータとかを活用した不動産ソリューションだった気がします。

不動産業界もですが、家賃保証業界もIT化は進んでいない気がしますので、大手家賃保証会社で対抗できそうなのはCasaくらいかな。

ITソリューションで出口は見えるか


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