唐突ですが、皆さんは下記4社の家賃保証会社の共通点をお分かりでしょうか?
国土交通省の登録家賃保証会社だと気づいた方はさすがです。ですが、現在では62社まで増えていますので、4社に限っているのは別の理由があります。
それは公式HPに登録家賃債務保証業新シンボルマークを載せている家賃保証会社です。
2019年5月からシンボルマーク配布されています。世の中はゴールデンウィーク中でしたから家賃保証会社も動いていなかったのだと思いますが、私は法人でもないのに、個人でシンボルマークを使わせてくれと申し出たところ、国土交通省の担当者からメールが届き、シンボルマークを利用させてもらっています。
業界の認知、制度の認知を推進するためのマークです。皆さん、もっと知ってください。
家賃保証会社は誰でもいつでも始めることができる業種ですが、管轄している機関がなく、永らく自由にやっていました。しかし、国土交通省が登録制度を設けたお陰でついに国に認められるということができたわけです。
業界の新しい方は大したことではないと思っているかもしれませんが、業界が始まった当初は営業に行っても保証会社?何それ?とか、連帯保証人がいるから要らないとか、遅れたら出してるから大丈夫!とか言われてよく門前払いを食らったものです。
そして、認知が進んできたと思ったら追い出し屋とか言われる始末。悪いのは業界の一部だけなのですが、報道関係者にとっては格好の餌食になったわけです。
当初は国にも相手にされなかったのでしょうが、世間的にも利用率が高くなりましたのでいつまでも野武士というわけにはいかなくなったわけです。
せっかくある制度なわけですから、このシンボルマークを使っていない=登録されていない保証会社=モグリな保証会社、くらいには認知されたいわけです。
というわけで、何かことがあればシンボルマークの提示にご協力ください。
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収納代行やそれ以外の質問を多数いただきました。
まとめてご回答いたします。
いただきましたご質問は以下の11。
1 口座設定に1〜2ヶ月かかる為、保証会社の口座に振込をお願いされた場合ですが、引き手は納得できますが、事務手がかかるのが納得できません。口座にお金はあるし家賃滞納な訳でもないからです。
2 家賃上乗せは事前求償つまり架空請求と同じではないのでしょうか?上乗せする際の注意点もご教示頂けたら嬉しいです。
3 保証会社から引落できなかったと言われたので振替不能の理由を聞いても具体的な不備理由は来ていない。不備の書類がきてないかと言うだけです。銀行から保証会社に振替結果のリストが来るのではないのでしょうか?
それか、契約者から銀行に聞けば分かるものなのでしょうか。
4 口座設定でネット銀行は1部不可と言われました。SMBCやJACCS等で取り扱い金融機関は違うのですか??
5 保証会社にもよると思いますが、引落口座は契約者以外の名義でも大丈夫ですか?
6 保証人つけたら保証会社が外せない理由は完璧に家賃滞納リスクを完全に減らしたいオーナーさん都合ですか?
7 複数月家賃滞納してる場合で管理会社か保証会社に債権譲渡?しますと言われました。家賃を債権譲渡する場合なんてあるのでしょうか?
8 友人が契約者の緊急連絡人?になっていますが、保証会社から契約者のお部屋の継続の件の一点張りで、家賃滞納の件かと伺うも、開示許可がないと答えられないと言われ、理不尽さを感じているようです。個人情報保護の同意書があると思うので、保証会社的にも問題ないと思います。保証会社によって運用が違うのですか?
9 よく聞く安否確認ですがどこかの保証会社は居留守を使われたのでその場で安否確認したと噂で聞きました。安否確認なのに許されるのてしょうか?
10 途中から契約者=入居者でなくなる場合、つまりまた貸しの場合はよく名義変更しろと保証会社の人は言うらしいですが、それは何故でしょうか?民法に無断転貸が禁止されているから?それともいざ裁判する時になにか不都合でもあるのでしょうか?
11 督促する上で1番気をつけている事ってなんでしょうか?
1 口座設定に1〜2ヶ月かかる為、保証会社の口座に振込をお願いされた場合ですが、引き手は納得できますが、事務手がかかるのが納得できません。口座にお金はあるし家賃滞納な訳でもないからです。
引き手とは引き落とし手数料のこと、事務手とは事務手数料のことです。
名目がわからないのですが、口座設定に誤りがなかった場合には引き落とし手数料も事務手数料もかからないと思うのですが・・・その家賃保証会社は大丈夫ですか?
もしくは、口座設定に何かミスがあり、本当は家賃が遅れているとかではないですか?
引き落し手数料がかかるのは口座振替をするときにかかるからです。事務手数料は普通は遅れたときにしかかかりません。
もしかして、保証料の年割りを毎月支払っているとかではないですか?書類待ちの段階で本当に引き落とし手数料と事務手数料の両方を取っているのは疑問です。
もしかして、他社ってそういうことやってるの?という感じです。
2 家賃上乗せは事前求償つまり架空請求と同じではないのでしょうか?上乗せする際の注意点もご教示頂けたら嬉しいです。
家賃上乗せはどういう理由でいくら上乗せなのですか?賃貸借契約時に家賃上乗せで契約したわけではなくてですか?
考えられるのは、家賃が遅れた際に上乗せで回収して家賃遅れをなくすということです。
家賃が5万円だとして、家賃が遅れた際に毎月家賃保証会社に55,000円+手数料を支払います。すると5,000円は家賃保証会社にプールされますので10ヶ月間上乗せで支払い続ければ家賃滞納がなくなります。
私は違法だと思います。その保証会社大丈夫?
ただし、極めて限定的で例外的には行うケースがあります。入居者が明らかにお金の管理ができなくて、入居者がそれを自覚していて同意がある場合です。それ以外は家賃保証会社が上乗せで受け取る理由がありません。
3 保証会社から引落できなかったと言われたので振替不能の理由を聞いても具体的な不備理由は来ていない。不備の書類がきてないかと言うだけです。銀行から保証会社に振替結果のリストが来るのではないのでしょうか?
それか、契約者から銀行に聞けば分かるものなのでしょうか。
現場レベルではわかりません。銀行から家賃保証会社に振替結果のリストが届きますが、不備理由についてはわかっても家賃保証会社の経理担当レベルまでだと思います。回収の現場にはそこまで知る必要もありませんし、不必要なことを知っていると情報漏えいにつながりかねないからです。
契約者から銀行に聞いてわかるかどうかは銀行次第ですが、非常によくあるのは印鑑相違で引き落としができなかった場合と家賃分をぴったり口座に入れていたので、手数料分が足りずに引き落としができなかった場合です。
あとは家賃引き落としの直前に違う引き落としがあって残高不足になったとかが多いです。
4 口座設定でネット銀行は1部不可と言われました。SMBCやJACCS等で取り扱い金融機関は違うのですか??
取り扱い金融機関が違うのは事実だと思います。私もそう聞いています。
ただ、銀行側のことなので詳細は不明です。ネット銀行が一部不可というのも聞いたことはありますが、普通のネット銀行は使えますので、たぶん本当にごくごく一部だけ使えないということだと思います。
5 保証会社にもよると思いますが、引落口座は契約者以外の名義でも大丈夫ですか?
大丈夫です。夫婦で契約者と名義が違うこともありますし、学生で親の口座から支払うということもあります。
6 保証人つけたら保証会社が外せない理由は完璧に家賃滞納リスクを完全に減らしたいオーナーさん都合ですか?
保証人をつけても保証会社が外せない理由、と読み替えます。
基本はオーナーさん都合ですが、保証会社側から契約者単独では契約を受けられないので連帯保証人をつけてくれれば審査を通すということはありえます。
7 複数月家賃滞納してる場合で管理会社か保証会社に債権譲渡?しますと言われました。家賃を債権譲渡する場合なんてあるのでしょうか?
債権譲渡ではなく、立替依頼だと思います。
家賃が遅れた際に最初に管理会社(または家主)から入居者に連絡して、家賃が払えないことがわかってから保証会社に立替依頼することがあります。たぶんそれを言っています。
保証会社は普通、サービサーではないので債権譲渡はできません。
8 友人が契約者の緊急連絡人?になっていますが、保証会社から契約者のお部屋の継続の件の一点張りで、家賃滞納の件かと伺うも、開示許可がないと答えられないと言われ、理不尽さを感じているようです。個人情報保護の同意書があると思うので、保証会社的にも問題ないと思います。保証会社によって運用が違うのですか?
契約者に連絡がつかないので緊急連絡先に連絡が来たけれども、なぜ緊急連絡先に電話が来たのか聞いても教えてくれないということだと思います。
家賃滞納というのは非常に聞こえが悪い、しかも個人情報なので家賃保証会社の口から家賃滞納ということは伝えられません。ただ、お部屋の継続の件ということは単純に家主が契約者に連絡をつけたいことがあって保証会社から連絡を取っているケースや保証会社の更新の件で急ぎ連絡を取りたいことがあるという可能性もあります。
個人情報保護の同意書があるかどうかは保証会社の契約書次第ですが家賃が遅れているというのは普通は話しません。
9 よく聞く安否確認ですがどこかの保証会社は居留守を使われたのでその場で安否確認したと噂で聞きました。安否確認なのに許されるのてしょうか?
居留守を使われたので安否確認した、は許されません。不法侵入の可能性が非常に高いです。
ただ、居留守とはわからず安否確認のために入ったら中に本人がいたというケースはありうると思います。
10 途中から契約者=入居者でなくなる場合、つまりまた貸しの場合はよく名義変更しろと保証会社の人は言うらしいですが、それは何故でしょうか?民法に無断転貸が禁止されているから?それともいざ裁判する時になにか不都合でもあるのでしょうか?
家賃滞納が続いた場合、最終的には裁判をするしかないのですが、裁判をするときには物件の占有者を決める必要があるからです。不特定多数の人が次から次に入れ替わりで部屋を使うと占有者を決めづらいので家賃保証会社は面倒な手続きをしないといけません。
そのため、名義人を確定してほしいからそういっているのだと思います。
住んでいる人と保証会社が契約すると言うのは普通のことですよ。
11 督促する上で1番気をつけている事ってなんでしょうか?
会って話を聞くようにしていることでしょうか。ただ、件数をさばくためにはあまり会えないのも本音です。
入居者の状況を把握するためには実際に会って話すのが一番わかります。
それでも何回も裏切られていますけど・・・
特定されない限りはなんでも答えます。
ご意見、ご質問は info@hoshokaisha.jp またはコメントまで
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6月21日(金)に判決の出た大阪地裁の判決ですが、週を明けた今でもにぎわっているようです。
私も21日(金)、22日(土)と記事を書いていますのでご参照ください。22日分は日付を越えて23日付けになっていますが。
【合法と違法の狭間】フォーシーズの契約条項、一部違法!?果たして追い出し条項なのか!?家賃保証会社フォーシーズは勝ったのか?負けたのか?
さて、21日(金)に判決が出た影響でしょうが、フォーシーズもケーシーズも、ケーシーズの担当弁護士もコメントしていません。これは仕方ないです。しかし、本日付で
フォーシーズ側のコメントが公式HPに出ています。
少し長いですが、原文をそのまま引用いたします。
2019.06.24 適格消費者団体特定非営利活動法人消費者支援機構関西(KC's)からの差止請求訴訟の判決について。
去る令和元年6月21日、KC'sから、弊社保証契約条項の一部について、消費者契約法に違反することを理由として使用停止を求められていた差止請求訴訟について、大阪地方裁判所において判決が言い渡されました。
判決内容は、弊社保証契約条項のうち、18条2項2号を除いては、いずれも消費者契約法に違反するとは認められないとしてKC'sの請求を棄却しましたが、唯一18条2項2号については、弊社の不法行為責任の全部を免除するもの(消費者契約法8条1項3号)であるとしてKC'sの請求を認容しました。大部分については弊社の主張及び弊社保証契約条項の正当性が認められたとはいえ、18条2項2号については第1審の大阪地方裁判所の理解を得ることができず、誠に遺憾ではありますが、引き続き控訴審における訴訟活動を通じて上記契約条項の正当性を主張していく所存です。
ところで、一部報道においては、弊社の「追い出し条項」について、違法との判断が出たかのような表現が見受けられますが、弊社契約条項の18条2項2号は、①賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り、②弊社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下、③電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃貸借契約の目的たる賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、④賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに限り、⑤賃借人が明示的に異議を述べないことを条件として、弊社において、賃借物件の明渡しがあったものとみなすことができるとするものです。すなわち、弊社契約条項18条2項2号は、かつて問題となったような、賃料滞納等を理由として賃借人の占有を一方的に排除する、いわゆる「追い出し」条項とは異なり、入居者様が連絡なく一方的に退去された場合において、なお賃借物件内に残置物が残されている状況が少なくないことに鑑み、入居者様が間違いなく退去し、かつ、合理的な入居者様の意思としては残置物の処分を望んでいると考えられる状況を想定して、そのような場合に賃借物件の明渡しがあったものとみなすことができるようにするためのものです。
なお、弊社の運用においては、従前、入居者様が連絡なく一方的に退去された場合においても、まずは入居者様に連絡をとるよう手段を尽くし、個別に委任をいただいて残置物を処分するよう徹底しております。今回の判決は、このような弊社の原則的な運用が問題となったものではありません。弊社としましては、引き続き、このような場合においても、入居者様に連絡をとるよう手段を尽くしてまいります。
(参考)弊社契約条項18条2項
2 丁は、下記いずれかの事由が存するときは、乙が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。
① 〔略〕
② 乙が賃料等の支払を2ヶ月以上怠り、丁が合理的な手段を尽くしても乙本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない乙の意思が客観的に看取できる事情が存するとき。
(乙:賃借人、丁:フォーシーズ株式会社〔弊社〕)
長いので3行でまとめます。
一部報道が違法とか言ってますが、ぜんぜん違います。
普通に考えて何もおかしいことはしていないのでこれからも頑張ります。
応援してねもしかしたら「一部報道」の中に私のブログも入っているかもしれませんので、私の立場を明確にしますが、フォーシーズ側の味方に決まってます。ケーシーズを味方する理由がありません。
大阪地裁では「一部」を違法としていますが、違法としているのは
借主が家賃を2ヶ月以上滞納し、連絡が取れない場合は物件を明け渡したものとみなせること
です。
フォーシーズ側の主張とは微妙に違いますが、裁判所としては
- 家賃2ヶ月滞納
- 連絡が取れない
- 明渡されたものとみなす
は認められないということです。
これは法律を考えている裁判所と実務を考えている家賃保証会社側の立場の違いともいえます。
裁判所の考え方
まず、最初に私は法律の専門家ではありません。ただ、業務上、そして立場上、法律(の一部)に少しだけ詳しい人間です。判決文も読んでいないので確かなことは言えませんが、その前提で書いています。
裁判所が上記の家賃2ヶ月滞納で連絡が取れないときに明渡された、というのを認めるとどうなるか?
連絡がつきづらいお客さんが家賃を滞納したときに、わざと請求を遅らせて、2ヶ月滞納の事実を作ってから、連絡がつかないことを理由に明渡されたという認識をして、荷物を運び出すということをやる会社が出てきます。そんなカバチが通用するか!と思うでしょうし、私もそう思いますが、世の中はそんなもんです。
家賃保証会社は以前に比べるとずっと良くなりましたが、2019年の時点でも体質が変わっていないところはあります。
どう考えても制度の悪用ですから。ダメに決まっています。ですが、判決が確定した場合には法律を同じように解釈することができるので「家賃2ヶ月」、「連絡取れない」をキーワードに追い出しを許しかねません。(許していないんですが)
例外中の例外ケースなのですが、裁判所はこういう例があるから、「家賃2ヶ月滞納で連絡つかないなら解約」を認められないのだと思います。
フォーシーズの考え方
そして、フォーシーズの公式HPの主張を読むと、フォーシーズの考え方は裁判所の見解とはまったく異なります。
フォーシーズは
- 家賃2ヶ月滞納
- 連絡がつかない
- 頑張っても連絡つかない
- どうやっても連絡つかない
- 誰がどうやっても連絡つかない
- 入居者も解約はダメとは主張していない
場合に明渡しされたと認めるという条文を作っています。
要するに夜逃げのことだと思います。
家賃を払っていなくて、連絡がつかなくて、もう帰ってこない状況というのは現場ならわかります。勘といえば勘ですが、9割以上の確率で夜逃げだと思った人は本当に夜逃げです。こういう案件に裁判をするのは時間と労力の無駄なんですね。
だからみんなのために明け渡しをするという方法を取っているようです。
みんな、というのは家主、入居者、不動産屋、家賃保証会社のことです。裁判すると半年~1年かかります。この債権は入居者に請求するものです。夜逃げだから捕まらないと思ったら大間違いで、その人の属性によりますが見つかります。
逃げ切る方法はありますが、覚悟が必要です。
ということは債権が途中で止まるので入居者のためでもあります。というよりも、最後くらいはちゃんとしてください。
そして、フォーシーズの条文で1つ、入居者目線で書いているものがあります。それは条文の
乙が明示的に異議を述べない限り
の部分です。ここでいう乙は入居者のことです。
つまり、「帰ってきます」と置手紙があれば明示的に異議を述べているので明渡しされません。
※本当に「帰ってきます」のメモを残して法的に有効かはわかりません。それ以前に電話してください。
要するに裁判所は杓子定規に法律の話をしただけだということです。しかし、法律とはそういうところが往々にしてありますので控訴審でどうなるのかは非常に気になります。
一方、現時点でもケーシーズとケーシーズ側の弁護士のコメントはありません。所詮は本気で営業している民間会社とは違うNPO法人だったということです。
ご意見は info@hoshokaisha.jp またはコメントまで
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昨日、大阪地裁でフォーシーズの契約条項が一部違法として判決が出ました。
【合法と違法の狭間】フォーシーズの契約条項、一部違法!?果たして追い出し条項なのか!?にもいろいろ書いています。
インターネット上にも判決が気になっている方は多かったらしく、それなりに反響をいただきました。フォーシーズが勝った、負けた、事実上はケーシーズの負けなど様々な意見がありますが、実際はどうなんでしょう?
やはり、一部違法となったことは話題になっています。
しかし、違法となったのは
借主が家賃を2ヶ月以上滞納し、連絡が取れない場合は物件を明け渡したものとみなせること
に対してなので勝ったのか、負けたのかは難しいところです。
これは少し違いますね。フォーシーズは事業用物件に強い家賃保証会社には間違いないですし、たぶん売上比率は事業用物件だと思いますが、件数は圧倒的に居住用が多いと推測されます。大手家賃保証会社の審査落ち案件をかなり受けているはずなので件数はそれなりに多いはず。
そして、今回の裁判も焦点は居住用、個人向け案件についての条文だと私は解釈しています。
しかし、そこまで借主を保護する必要はあるのか?という点については気持ちはものすごくわかります。昔は家主の立場が強かったですが、今は消費者側の立場がものすごく強くなっています。
本音では家賃が遅れて住めるという事実にふざけるな!と思っている家主も多いはずです。法律に文句を言っても仕方ないんですけどね。
弁護士も気にしている案件のようです。フォーシーズの追い出し条項といいますが、追い出しという言葉が独り歩きしているようにも思えます。追い出し、というか家賃を払っていないから住めない、というだけの話なんですが、法律って難しいですね。
ただ、ツイッターの話なので本物の弁護士なのか、自称弁護士なのかは確認していません。
さて、フォーシーズが負けたのかどうかは法的な意味では微妙です。負けたとも表現できるのは事実だと思います。一部違法と言われてしまったので。
ただし、原告ケーシーズの主張の1つ、
3カ月分の家賃を滞納すると一方的に賃貸借契約を解除できる条項
は適法だということなのでこの点ではケーシーズは負けています。
痛みわけ、というのが法的な解釈なのでしょうが(たぶん)、民間企業のフォーシーズにとって一部であっても違法というのは痛いことで、NPO法人のケーシーズにとっては正直痛くないが、悔しいというところなのだと思います。
業界的には「頑張れフォーシーズ」が多かったように思えます。
というよりも、本音レベルでは業界的にフォーシーズを味方しない理由がありません。
建前の話をすれば法的にどうとかは言えますが、気持ちの部分ではやはり嘘をつけないのがインターネットのようです。こういう点では匿名っていうのはすばらしいですね。
ちなみにケーシーズ側の弁護士の名前が出ていましたので調べてみたのですが、
弁護士増田尚のブログを見ると、今の時点で何もありません。
たぶん、勝ったつもりなのであれば何かしら書いていると思いますので、やはり事実上はケーシーズの負けなのかもしれません。ですが、形式上、控訴をするのはフォーシーズです。
ご意見は info@hoshokaisha.jp またはコメントまで
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大変なことが起こりました。
過去にも家賃保証会社フォーシーズの契約条項について、ケーシーズ(消費者支援機構関西)が違法と指摘し裁判にまで発展していることを当ブログでも話題に出してきました。
【質問】フォーシーズ VS ケーシーズ 解説してください結局、家賃保証会社に賃貸借契約の解除権は認められるのか?【大阪高裁平成25年11月13日賃貸借契約解除判決】過去のものを読み返すと長いので概要だけ説明すると、ケーシーズ側の主張は
家賃滞納があったとき、賃借人が退去していない状態で荷物を出すのは自力救済になる。また、この自力救済に対する損害賠償請求も認めないとするのは無効。
というものです。
フォーシーズの契約書条文はすべて公式HPに公開されています。お時間のある方は読んでみてください。
私はそれほど違法性を感じませんでしたが、法的なことはわからないことも多く、早く裁判の結果を知りたいなと思っていました。
そして、ついに、毎日新聞から
賃貸物件の「追い出し条項」 一部違法判決 大阪地裁という記事が出ました。
ちょっと解説いたします。
家賃保証会社フォーシーズの条項の何が合法で何が違法だったのか?
前述の毎日新聞の記事によると
西村欣也裁判長は、家賃を2カ月以上滞納するなどした場合に明け渡しを可能にする条項は消費者契約法に反すると判断
条項自体を違法と認める判決は異例で、同様の条項を用いる業者に影響を与える可能性がある。
家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)は、借り手が家賃を2カ月以上滞納して連絡を絶つなどした場合、物件を明け渡したとみなすと規定。電気や水道の利用状況も勘案し、家具や荷物を搬出できると定めている。
西村裁判長は、賃貸借契約が終了していない段階で勝手に荷物を持ち出すのは不法行為に当たると指摘。撤去されても異議を言えないとしており、消費者契約法の禁止事項に該当すると判断した。
とのことです。
つまり、
違法と判断されたのは、家賃を2ヶ月以上滞納した場合に物件を明渡す規定です。
記事にもありますが、
3カ月分の家賃を滞納すると一方的に賃貸借契約を解除できる条項
は適法としています。
今までも慣例的に家賃が3ヶ月以上滞納があると家主から賃貸借契約を解除していました。一方、家賃滞納が3ヶ月以上続いたとしても家賃保証会社が賃貸借契約を解除できるのはどうなのかという意見もありました。
大阪高裁平成25年11月13日賃貸借契約解除判決では家賃保証会社の賃貸借契約解除を認めていたわけなので、今回の判決はこの判例を踏襲したようです。これは当然といえば当然です。
では、なぜ家賃が2ヶ月以上滞納した場合に明け渡しをしてはいけないのか?
フォーシーズの条文をよく読むとわかりますが、条文には
乙が賃料等の支払を 2 ヶ月以上怠り、丁が合理的な手段を尽くしても乙本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない乙の意思が客観的に看取できる事情が存するとき。
とあります。ここでいう乙というのは契約者(入居者)のことです。
家賃を2ヶ月以上滞納し、どうやっても本人と連絡がつかない場合には
乙が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。
とあります。
要は家賃を2ヶ月以上滞納し、頑張っても本人と連絡がつかない場合には「夜逃げ」と判断するので、裁判をしても時間の無駄。だから家主のためにも、債務を膨らませないためにも、部屋を有効活用するためにも、契約者が明渡したと判断する。
部屋を明渡したのだから、部屋の中の荷物は家主の勝手、この場合は家賃保証会社の勝手。だから荷物を出しますという解釈だと思います。
夜逃げの場合には裁判をすることは100%無駄なので気持ちはものすごく、ものすごくわかります。(法的には裁判をするしかないんですが。)
大阪地裁は3ヶ月滞納で解約は認めるけど、2ヶ月で解約はさすがに無理と判断したようですが、実務ではこの条項はほしいところでした。
もしフォーシーズがこの裁判に勝てれば各社こぞって真似てくる可能性が高いです。この「頑張っても契約者と連絡つかなかったら2ヶ月で明渡し」条項はそれだけ魅力的な条項です。
裁判をしたら半年とか1年とかかかりますからね。その間の家賃は誰が払うのだ!という感じです。
ありがたいことにフォーシーズは控訴するそうですので、今後に期待大です。
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オリエントコーポレーションの2019年3月期の決算ハイライトが公開されました。
正直、オリコはどうでもよいのですが、オリコの決算資料にはオリコフォレントインシュア(OFI)に触れているので必須です。しかし、オリコフォレントインシュアの情報っていうのは少ないですが。
決算ハイライトによると営業収益と利益は次の通りです。
営業収益 77億円(前年比+42億円)
営業費用 73億円(前年比+39億円)
びっくりしました。
ジェイリースの2019年3月期の売上高が約60億円ですから、売上高はジェイリース以上です。
2018年3月期の売上は35億円ですから、なんと成長率は・・・+107%・・・でしょうか!?
ですが、オリコフォレントインシュアの情報はこれでおしまい。オリコ本体の家賃決裁保証・売掛金決済保証という枠では次の通りです。
事業収益
2018年 → 2019年 → 2020年(予想)
108億円 → 158億円 → 177億円
オリコフォレントインシュアの営業収益77億円を入れての事業収益が158億円です。もしかして、売掛金決済保証というのはオリコ本体の家賃保証事業ということだろうか?家賃のカード払いって売掛金でよいの?
オリコの決算資料は売上高という言い方をせず、営業収益、取扱高などの用語がでてくるので単純比較が行いづらく、わかりにくい。株主向けに大きい数字を出したいということだろうか?私のような会計に疎い人間には把握が困難です。
ですが、オリコフォレントインシュアが順調すぎるくらいに伸びているのはオリコがすごいのか、リクルート時代がダメだったのか(リクルートフォレントインシュア時代は散々だったはずです)。
オリコと連結しているので数字の把握が困難ですが、オリコフォレントインシュア単体であれば普通の家賃保証会社ですから、オリコフォレントインシュア単体の決算情報を公開してくれれば売上高ランキングとかにも上位表示されると思いますが、公開しないのはオリコの方針だろうか。
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東証一部上場企業の
Casaが子会社を設立する予定だそうです。
日本セーフティーの子会社の
琉球セーフティーみたいに地方で分けるのかと思いましたが、事業内容は下記3点。
- 不動産経営プラットフォームの提供
- 不動産取引に係る各種情報インフラの提供
- 不動産経営に係るコンサルティング事業
内容をみて、何か気づきませんか?
私はこれを見て、
パレットクラウドはどうした!?と思いました。
パレットクラウドは住生活のプラットフォーム、つまり入居者管理システムを管理・運営しているシステム会社です。Casaの子会社ではありませんが、YJキャピタル(約3000万円)、Casa(約1億円)、リロクリエイト(金額不明)の三社が出資しています。
パレットクラウドの資本金は約1億4000万円ですから、約1億円出資しているCasaの子会社といっても良い気がしますが、100%出資の子会社でなにやらパレットクラウドとは違う不動産経営プラットフォームを運営するようです。
Casaは家賃保証会社の中ではかなりクラウド化、IT化が進んでいる会社ですのでさらに上を目指すために画策しているのでしょう。
というか、そうでもしないと後発のGAテクノロジーズ(
リーガル賃貸保証の親会社)に対抗できないと踏んだのかもしれません。ともあれ業界に新しい風が吹くのは歓迎です。
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タイトルでは99%は意味がないと書いていますが、100%意味がないと思っています。
住居確保給付金の趣旨には賛同しますが、たぶん、空回りする気しかしません。
まず住居確保給付金というのは、
離職などにより住居を失った、または失う可能性が高い人に就職活動していることを条件に家賃相当額を国が支給する制度です。
家賃が遅れる理由の1つに、リストラをはじめ離職による収入減少があります。これを解消しようというのが趣旨だと思っていますが、何がダメなのかというと、制度を利用するのは、制度を利用しなくても何とかなる人、だと思っているからです。
日管協のリーフレットによると制度を利用するための条件は主に下記5点。
- 65歳未満
- 離職から2年以内かどうか
- 離職前は世帯主だったか
- ハローワークで求職申込みをしているか
- 国の雇用政策の給付を受けていないか
ただし、これ以外にも条件はあるというので大雑把にしか判断はできません。
制度の趣旨は、本人に不都合な離職があっても生活を維持することだと思っていますので、趣旨には大いに賛同します。しかし、制度には意味がないと思っているのは次の理由があります。
※そもそもですが、私は住居確保給付金について詳しくはわかっていません。たぶん、詳細はまだ厚生労働省しかわかっていないと思います。それくらい認知は低いです。
- 65歳未満しか受給できない
- 世帯主しか受給できない
- 家賃滞納者には情報弱者が多い
- (たぶん)家賃が遅れる理由を国が理解していない
65歳未満しか受給できない
上記の条件では65歳未満しか受給できないように思えます。これは、制度が就職活動をしていることを条件にしているから、かつ、(意図はしていないと思いますが)65歳以上は就職しないので制度の対象外だからです。
ということは、65歳以上は年金または生活保護で生活をしているのだと国は考えている可能性が高く、年金や生活保護を受けていて家賃が遅れている人の救済にはなりません。
家賃が遅れている理由はさまざまですが、高齢者は割合としては多いです。それだけ仕事による収入が無い状態で家賃を支払うのは大変なんです。今の日本はそういう状態です。
世帯主しか受給できない
これも疑問ですが、上記条件をみると世帯主しか受給できないように読めます。家族がいて家賃が遅れている場合、共働きの場合も非常に多いです。
当然、子供がいる方が延滞リスクは高いのですが、家族がいて家賃が遅れている人の場合、世帯主分だけしか補填されないとなると、世帯主ではない方のリストラの際には制度がまったく役に立ちません。
たとえば、夫が世帯主で妻も働いている場合で、共働きでも子供の養育費で生活はカツカツなんていうのはよくある話です。この状態で妻がリストラされてしまうと、世帯主ではないという理由で制度を受けられず、家賃延滞が起こります。
離職により住居を失う可能性が高い人を救うはずの制度が、救えていない制度になっています。
家賃滞納者には情報弱者が多い
こういう言い方が正しいのかわかりませんが、家賃滞納者には情報弱者が多いです。自分でこういう情報を集めて対応するだけの知識や常識がない、あると聞いてもどう動いてよいかわからないなんていう人は非常に多いです。
それを理解させるために国や各種機関、家賃保証会社が動いているのでしょうが、公的機関が民間機関に圧倒的に劣っているものの1つはサービスの告知力です。情報提供のやり方が下手すぎます。
これは売らないと生き残れない民間と売らなくても構わない公的機関の差だと思います。
そして、家賃保証会社や物件の管理会社が協力するようですが、少なくとも家賃保証会社はそこまで協力的ではありません。会社は協力的なのでしょうが、現場スタッフレベルでは情報の落としこみはできないでしょうし、現場の回収部隊にとって制度は回収方法の1つの手段ですから、他の手段が完全にダメなら考える程度でしょう。
はっきりいいますが、家賃保証会社の回収現場レベルでは家賃滞納者の生活のことをそこまで気にしていません。失礼な言い方ですが、自分の回収数字の方が重要ですので、多くの件数を抱え、目標数字を追いかけているのに使えるかどうかわからない精度の紹介を懇切丁寧には説明はしません。
リーフレットを渡してあとは自分でやっておいてね、程度はできるでしょうが、積極的なのは最初だけで効果がでないと判断した瞬間に現場からは完全に忘れ去られる可能性が高いです。
家賃が遅れる理由を国が理解していない
制度の最大の穴がここだと思います。
普通、民間企業で新サービスをリリースするときは、最初にマーケット調査を行うと思います。公的機関では行っていないとは思いませんが、たぶん、家賃が遅れる理由を理解していないと思います。
もしくは、
家賃が遅れる理由を理解した上で、一部の人だけを救済する制度だと割り切っているか、です。
理由を理解していないから救済できる人が相当に限られてしまい、そもそも制度を利用する人は、本当に助けを必要としていない人になる、という可能性が非常に高いと見ています。
さて、制度についてずいぶん批判的に書いていると読めるでしょうし、実際に批判していますが、私は趣旨には賛同していますし、国の助けは必要だと考えています。
しかし、税金を投入し人を使っている以上、きちんとしてほしいと願うばかりです。
本当に必要なのは
顧客が本当に必要だったものだと思います。
「顧客が本当に必要だったもの」は業界が違う話ですし、私も専門外すぎて詳細はわかりませんが、意図は非常に明確でわかりやすいです。
家賃滞納者が本当に必要なのは、少なくとも「給付金」ではないと私は思います。
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毎年この時期になると賃貸と持ち家はどっちが良いか!?みたいな議論になるのは気のせいでしょうか?
良い意味で考えれば、新しい世代の人、新社会人が社会になれた頃を見計らって将来設計について積極的に意見交換をしているといえますが、悪い意味で考えればネタがないので焼き増していたり、まだ家を買っていない人に買わないと将来怖いぞ~と刷り込んでいるように思えます。
賃貸vs持ち家は過去にも書きましたので、こちらも参照してほしいですが、私が答えるなら持ち家の方がよいです。
別に
賃貸住宅を出て、一刻も早くマンションを購入すべき理由に影響されているわけでもありません。
私は以前から買えるなら買っておいた方がよいといい続けています。
正直、どっちでもいいんですよ。メリットとデメリットのトレードオフなので人による、としか答えられません。ですが、それでも私が持ち家をお勧めするのは、賃貸か持ち家かを気にするのは庶民だからです。
お金持ちは資金面や投資面では気にしますが、賃貸か持ち家かでは気にしません。
ということは世に出回っている記事や書籍は庶民宛に書かれているわけです。庶民というのはお金を持っているか持っていないかといえば、持っていない方です。
だから今買おうとして買えるなら買っておいた方がよいです。将来買おうと思っても買えなくなる可能性がありますから。
今の日本はそれだけ格差が進んでいます。家賃が遅れることはないだろう、と思っていた人が遅れるのはもはや普通です。昔は家賃保証会社を使うのは少数派でしたが、今では誰でも使います。それだけどこにリスクがあるかわからない時代になったということです。最近では不動産屋勤務や家賃保証会社勤務でも家賃を遅れるような時代です。恐ろしい。
家賃が遅れる人は高確率で借金とか、ギャンブルとかで家賃以外にも問題を抱えていることが多いです。借金でどうにもならなくなって債務整理でもしたら、買える家も買えなくなります。
そういうわけで、賃貸か持ち家か悩んでいる方は、悩むくらいなら、買えるうちに買ってしまいましょう。ハイパーインフレがくれば儲けもんですし、資産価値が上がれば万々歳ですし、どうにもならなくなったら売ってしまいましょう。
売って債務が残ったらごめんなさい。でもそれも自己責任です。
専門家に賃貸がいいのか、持ち家がいいのか聞いても、聞いた専門家が売買担当なら持ち家の方がいいというでしょうし、賃貸担当なら賃貸の方がいいというでしょう。
ちなみに、私の周りでは賃貸派が多いです。ですが、こういうのは多数決は何の役にも立ちませんね。
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いえらぶパートナーズの公式HPにもありますが、OYO LIFEと業務提携をするそうです。OYO LIFEは今年3月に始まった、OYOグループとヤフーのジョイントベンチャー、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社のサービスです。会社名が長すぎるのでみんなOYO(オヨ)としか呼んでいません。
スマホで申込みをして、家具付き、wifi付き、敷金礼金なしの画期的なサービスらしいですが、私の周りではオヨヨな結果らしいです。まだ始まったばかりだから今後に期待のサービスです。
思うに、いくら敷金礼金が無いにしても、家具付きだとしても賃料が高すぎるのだと思います。マンスリーとして利用するならまだしも、一般的な貸家としてはどうかなーと思ったりします。
そして、今回いえらぶパートナーズが家賃保証をするらしいです。
以前も少し触れましたが
いえらぶパートナーズはJIDから独立した家賃保証会社です。主戦場は他の家賃保証会社と同じですが、いえらぶグループなのでITとかクラウドとかに寄っているのは確かでしょう。そんなことも関係するのかもしれません。
タイトルではOYO LIFEが家賃保証して、いえらぶパートナーズが家賃保証する、などと紛らわしいことを書いていますが、これは家賃保証の意味が2つあるためです。
OYO LIFEが行う家賃保証は、通称サブリースと呼ばれるやつです。家主の物件をOYOが借りて、OYOが入居者に貸し出すというやつです。家主とOYOで賃貸借契約を結ぶので、家主のお客さんはOYOです。OYOがずっと借りてくれるので家主には家賃が保証されるという意味での家賃保証です。
いえらぶパートナーズが行う家賃保証は、別称で家賃債務保証といいます。入居者は毎月家賃を支払いますが、支払い遅れがあったときには貸主に家賃を一時的に立て替えるという意味で家賃を保証しています。
OYO LIFEのことは詳しくはわかりませんが、「物件を借り上げる」とありますのでサブリースのことだと思います。
サブリースの物件を家賃債務保証するなんていうのはよくある構造ですから別に驚きませんが、気になったのは契約形態です。普通の賃貸物件では賃貸借契約を結びます。この契約内容に応じて家賃を払うわけですが、賃貸借契約にも2つの契約があります。
普通借家契約と定期借家契約です。
普通借家契約は一般的な賃貸借契約のことです。感覚値ですが、世の中の99%の賃貸借契約は普通借家契約です。
定期借家契約は、一定期間借りることを約束している賃貸借契約です。世の中にはあまり出回っていない賃貸借契約です。借りる際にいつからいつまで借りると約束するので解約届けを出して1ヵ月後には契約終了、ということができません。契約している間は借り続ける必要がありますし、契約期間が終了したら退去するのが前提です。その後、もう一度契約するかどうかは家主との交渉次第です。
こんな話が出てきたのはOYO LIFEの契約期間が最長で14ヶ月とあるからです。たぶん、普通借家契約を結ぶのだと思うのですが、OYOについては情報がぜんぜん入ってこないのでわからない。
ヤフーが出資しているくらいだから変な契約はしていないと思いますが、
過去には鍵の使用権を貸しているなどということをやっている不動産会社があったくらいですから気になります。
契約期間を決めると面倒になるのが、家賃を遅れてしまい退去しなかった場合の裁判です。普通借家契約では家賃が3ヶ月以上遅れた場合に建物明渡し訴訟を行いますが、定期借家契約では契約期間が過ぎると同時に訴訟を行えます。
※3ヶ月以上というのは判例です。それより前に訴えても退けられる可能性が高いので3ヶ月を目安に訴訟します。
最初に14ヶ月で普通借家契約した場合、14ヶ月目の家賃が遅れて、そのまま居座られた場合には本来存在しない15ヶ月目、16ヶ月目まで退去交渉をして、16ヶ月目の家賃を遅れると3ヶ月の滞納ができるので訴訟できます。
最初に14ヶ月で定期借家契約した場合、家賃の遅れが無くとも15ヶ月目に入った時点で訴訟ができます。定期借家契約は期間が過ぎれば退去するのが前提だからです。
それほど居住権は強いです。だから契約期間は最長で14ヶ月とあるとどうなるのかは業界人として非常に気になる。
ただ、考えてみればマンスリーマンションやウィークリーマンションでも同じことがいえるので、単に私の勉強不足だと思います。
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