私に聞いているということは、保証会社関係または不動産関係なのだと思います。カバチタレで検索してみるとウィキペディア先生に全部載っています。質問されているのはテレビドラマ、カバチタレの続編、特上カバチタレの第7話「貧乏ビジネス繁盛!!ゼロゼロ物件に潜む悪徳業者!!!実力行使で徹底抗戦カバチする!!!!」のことだと解釈して話を進めます。
私はカバチタレも特上カバチの原作を読んだことも、テレビドラマを見たこともないので、ツタヤで借りてきました。108円なり。質問に対して経費(?)を掛けたのはこれが初めてです。
ドラマの構成とか感想とかはどうでもよいと思いますので、肝心の不動産会社、保証会社に焦点をあてて解説します。ちなみに、特上カバチは2010年の1月~3月に放映されていた内容ですので、今更感がありまくります。もう8年以上前の話だよ。
見たことがない方のために話を説明すると
- 入居者が家賃を1日遅れたら鍵を交換された
- 不動産屋に電話したら鍵交換代と違約金を請求された
- 困ったので法律家(行政書士)に相談に行った
というスタートです。行政書士と契約者で不動産屋に抗議に行ったところ、不動産屋が言うには、貸しているのは部屋の鍵であって部屋そのものはオプション。よって借地借家法には違反しない、というものです。とんでもない屁理屈です。遅れている家賃5万円と鍵交換代15,000円と違約金20,000円を請求する始末です。
どう見てもスマイルサービスです。本当にありがとうございました。
契約書にはきちんと書いているのですが、入居者曰く、そんな細かいところまで読んでいるわけないでしょ、と言いますが、こんな悪徳不動産屋に通じるわけがなく、一旦帰ります。行政書士のアドバイス(?)により、行政書士が鍵屋を呼んで鍵交換し、部屋に骨董品(?)や高級品を置き、カメラを設置します。
案の定、不動産屋が追い出しに来て、部屋にいる入居者を引きずりだして、荷物をダンボールに詰めだします。このときに、高級品が壊れるように設置していたため、カメラにはばっちり、不動産屋が荷物を壊している様子が撮れています。
この動画を元に行政書士が改めて不動産屋に抗議。荷物を壊したことに文句を言うと、不動産屋は賃料を支払わずに荷物撤去を行った際には荷物を壊しても責任を取らないと契約書にあると主張します。一方、行政書士は入居者の私物でないので契約書に違反すると言っています。上のアドバイスの時点で何かがおかしかったのですが、この時点でそろそろのこの行政書士も法律家として危なくなっているような気がします。
そこで不動産屋も一旦、引きますが、保証会社に依頼をかけます。ドラマでは詳しくは語られていませんが、上で荷物を出されたのはごく一部のようで、この後、入居者は普通に住んでいますし、荷物も元通りになっているように見えます。
朝の6時15分、保証会社と名乗る4名、しかも明らかにガラの悪い、ステレオタイプなヤクザがドアをバンバン叩いています。ドアの前で大声で、ドアと反対側に向かって(わざと周囲に聞こえるように)家賃払ってくださいよ!とか言っています。本当にどうでもよいですが、隣の部屋の望月さんが、何が起きているんだろう?という感じでドアから顔だけ出しているのはよくできていますw。
その後、勤務先にも黒い車で数名、本当にステレオタイプなヤクザが来て、入居者の名前を大声で連呼しています。関係のない従業員の襟首とかつかんでいます。やりすぎ。
入居者に別居している妻と子供の名前と住所を意味深に伝えています。そこまで調べたのかよっ!しかも、大至急支払わないと天罰がくだります、とか電報を送り、入居者の母親や親族に弔電を送っています。保証会社、変なところで仕事熱心だな!特上寿司10人前を勝手に注文するとか、昭和の嫌がらせを感じます。
その後、保証会社は日中、勝手に部屋に入って荷物を処分、部屋の鍵は改めて鍵交換されています。荷物を処分されたことに対して行政書士は不動産屋に訪問し抗議、すぐに返すように言っていますが、既に処分したといわれています。当日のことなのに、保証会社、仕事早いな。
これに激怒した行政書士は、自分が弁護士だったら無料で対応してあげるのに・・・などと言っています。この後は不動産屋が行っていることは非弁行為であって弁護士しかできないことをやっている。だから刑事事件として訴える。訴えたら宅建も取り消しですね、嫌だったら鍵を渡して慰謝料100万円払え、と逆に脅しています。
ドラマの概略は以上です。簡潔に書こうとしたら思ったよりも長くなりました。
最初に思ったのは2つです。
1つ目、不動産会社、やりすぎ。
2つ目、行政書士、頭大丈夫か?
ドラマなので多少、面白おかしくやっているところはあると思います。視聴率を取ることを考えれば当然です。ですが、話におかしいところが多いので現実的ではないです。
まず最初に、部屋を貸しているのではなく鍵を貸している、という屁理屈は西新宿に実在したスマイルサービスという不動産会社のことをモデルにしていると考えられます。鍵を貸しているという屁理屈は通じません。部屋を貸していることは明らかで、ドラマでは不動産屋も保証会社も賃料、入居者などのキーワードを使っています。1回だけですが、保証会社が「入居者・・・いや、利用者」と言い直しているあたりは芸が細かい。当然違法です。鍵交換代と違約金は入居者にとって一方的に不利な条文なので消費者保護法という法律により無効です。
不動産屋が入居者を引きずり出し、勝手に部屋に入り、荷物を壊したことについては、明らかに違法です。暴行罪、不法侵入、不退去罪、器物破損罪などが成立します。
保証会社が早朝に訪問し、ドアをバンバン叩き、ドアの前で大声で家賃と連呼する行為も違法です。早朝の訪問は、社会通念上明らかにおかしいとは言いがたいところがありますので保留します。ドアを叩くのは器物破損、脅迫、威迫です。ドアの前で家賃と大声を出すのも脅迫、威迫、名誉毀損などに当たります。ドラマでは6時15分という微妙すぎる時間に訪問しています。これが朝の4時とかだと違法かもしれませんが、時間帯については本当に微妙すぎる。
勤務先に訪問すること自体は違法性はありませんが、大声で名前を呼ぶ必要はありませんし、関係ない社員の襟首をつかむあたりは違法です。どの道、迷惑行為には違いありませんので完全にアウトです。
電報、弔電を送る行為はただの迷惑行為ですので具体的な罪が分かりませんが、アウトです。普通は請求書を郵送するとか、滞納が続いた場合に裁判を見越して内容証明を送るくらいです。
寿司を勝手に注文するのは、確か営業妨害ともう1つくらいの罪(忘れました)になります。
よくもまー、こんな悪いことばかりしたものです。しかしながら、ドラマは2010年くらいですから、○○ー○ー○とか○○○ー○○○ーとか○○○○○○○○ーとかいう保証会社が当時、実際にやっていた手法ですね。笑えません(電報、弔電については分かりません)。
そして、行政書士の対応については非常に疑問です。行政書士は法律家には違いないですが、法律家というには弱く、普通は法律家といえば弁護士です。せいぜいが司法書士です。なぜ相談者が弁護士ではなく行政書士に相談に言ったのか分かりませんが、行政書士の仕事は書類作成です。それ以外の行為、ましてや行政書士が相談者の代理での交渉なんてできるわけがありません。これで自分が法律家とか言っているあたり、この行政書士は法律家として完全に終わっています。
これに対して、ドラマ内で一応の弁明は行っていて、お金を受け取っていない、つまり利益目的で交渉を行っていないからOKなどをぬかしています。ドラマを見れば、行政書士の分際で明らかに弁護士と同等の権利を行使しています。
などと思っていたらウィキペディアのカバチタレの項目の最後には、大阪弁護士会がTBSに抗議している旨が書いています。法律家でもない、法律にちょっと詳しい程度の私が異様に感じたわけですから当然です。
ドラマとして面白いかどうかは見る人の自由ですが、このドラマを見て行政書士でもこんなことができるんだー、などと大きな誤解を生んだことは間違いないと思います。
そして、最後の慰謝料100万円のくだり。処分された家財の金額をどう出したかと精神的苦痛をどう考えるかで金額が変わりますが、多分100万円はいくらなんでも無理だと思います。要するに、相手が悪いやつだから自分も悪いことしてやろうという考えを持っていますので法律家としては致命的です。
最後がドラマの主人公を悪く書いているのでぼかしているように感じてしまいますが、このドラマの保証会社は完全にアウトな部類ですので、もし2018年の現在でもこのようなことを行っていたら即、警察を呼んでください。

ちなみにドラマの感想ですが、私は嫌いです。不動産会社にも保証会社にも行政書士にも腹が立ちますし、勧善懲悪なつもりかもしれませんが、見た後の感動もすっきり感もありません。
ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
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