突然、何を言い出したかというとエルズサポートのLPを見て気になりました。例えばですが、「賃貸保証」でグーグル検索をするとリスティング広告が出てきます。
よくあるLPの形といえばそうですが、やや誤解を招くような表現があります。しかし、嘘は書いていないというような印象です。
家賃保証会社は基本的にそれほど儲かりません。というよりも、儲けるためには圧倒的多数を取り込んで滞納リスクを抑えるか、優良顧客を囲い込んで利益率を上げるかしかないからです。
圧倒的多数を取り込んでいる例では、全保連は年間30万件以上の申し込みがあります。申し込み数と契約数は一致しませんが、申し込み数がそれだけあるということは契約数、つまり保証料も入ってくるということです。
ただ、申し込み数が多くなると、質のよいお客さんも多い代わりに質の悪いお客さんも多くなります。分かりやすくいえば、家賃を遅れる人も多くなります。しかし、家賃が遅れるだけなら回収部隊が動けばほぼ解決します。問題になるのは裁判しないとどうにもならないような層が一定数いることです。
そうなると困るので優良顧客を囲い込みたいのですが、審査を厳しくすると不動産会社に使い勝手が悪いと見放されてしまうので高い承認率を保ちながら、本当に悪いお客さんだけを篩にかける必要があります。
それができれば苦労はしないんですけどね。
もう1つ、家賃保証会社が儲ける方法があります。家賃延滞時の回収率を高く保つことです。そもそもが立て替えた家賃ですから、回収したところでプラスにはなりません。遅延損害金が取れるとは言っても人件費を考えるとほぼ利益にはなりません。むしろ赤です。それでも回収部隊が優秀なら家賃延滞時のマイナスを抑えられますので会社としては利益が確保できます。
しかし、それができている家賃保証会社はそれほど高くありません。
それでも2014年に比べ、2018年は各社、波に乗っている印象です。基本的に保証会社の売上は右肩上がりです。2018年6月に出た日管協の短観でも保証会社の利用率は高い水準で維持できています。
不動産会社の需要がますます高まっているころあいです。
しかし、エルズサポートは2014年のデータを取り出しています。なぜか?悪い見方をすれば自社に都合の良いデータを使っているということもできますが、もう1つ、考え方があります。
私は2014年以後のデータが存在しないからだと思います。
悲しいことに、この家賃保証業界は一般的に、誰も、興味を持ちません。
それは家賃が遅れない人には完全に無駄なサービスだと思われていることと家賃が遅れる人には目の上のたんこぶなサービスと感じられているからだと思います。
データを作るほうも作ったところで興味を持っている人が少なくては作り甲斐もないのでしょう。しかし、家賃保証会社の上場も増えてきたことですし、もう1度作ってみてはどうでしょうか?今、家賃保証会社の統計データを本格的に作れば、どこのサイトも参照にしまくりです。作るだけの価値はあると思うんですけどね。
実は統計データがあるけど、私が知らないだけという可能性もありますので、もしご存知の方は教えてください。
エルズサポートのLPの疑問点の2つ目は自己資本比率に注目している点です。一般論では自己資本比率が高いと倒産しづらいといわれているようです。それは間違いではないですが、自己資本比率が低いということはそれだけ投資に使っている可能性も高く、会社としての成長意欲が高い会社と見ることができます。
事実、自己資本比率だけを見ると家賃保証会社の超大手はトップではありません。
エルズサポートは続いて流動比率と当座比率を上げていますので、複数の観点から総合的に判断すべきといっているのかもしれませんが、結局のところは現金さえあれば会社は倒産することはなく、融資枠に対してどれだけ融資されているかだけの問題で、新たな借り入れ先ができれば問題ない話です。
新しい借り入れ先っていうのを見つけるのが難しいという話はありますけど。
何が言いたいかというと、自己資本比率と流動比率と当座比率を見ても良い保証会社かどうかは分かりませんよ、ということです。どうも、このLPは会計に詳しい人が作ったのか、サービス内容を「その他」でくくっているところが不思議です。
そもそも他の会社が公開していないデータでは比較ができないし、営業担当に聞いても多分、分からないと答えてくると思います。家賃保証会社の営業はだいたいそんな感じだから。
ちなみに、無借金経営をアピールしている会社もあります。借り入れは無いなら無いほうが良いに決まっていますが、借り入れがあるのは普通のことです。過去にも書きましたが潰れない保証会社がよいという結論です。
エルズサポートと結論は同じなのですが、ロジックが違います。

ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
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