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家賃保証会社エルズサポートが70億円のシンジゲート方式コミットライン契約を結ぶ

家賃保証会社エルズサポートが70億円のシンジゲート方式コミットライン契約を結んだようです。

公式ニュースの記載にはきちんと利用目的もありました。

本契約は当社の行う集金代行サービスに対し、従来はアレンジャーである三井住友銀行との当座借越契約に基づく融資により集金代行業務を行って参りましたが、集金代行サービスの取扱件数・金額増加に伴い、将来にわたって安定的な資金調達を行うために組成いたしました。


家賃保証会社のコミットラインというと思い出すのがJIDのコミットラインです。

JIDのコミットラインは30億でしたが、用途が書いていませんでした。立替金のためだと思いますが詳細は不明です。

一方、今回のエルズサポートのコミットラインでは集金代行サービス用と明記されています。

普通、家賃は管理会社が入居者の銀行口座から引き落とします(管理会社による集金代行)。管理会社で一旦プールして家主に支払います。対して、今回のような家賃保証会社による集金代行サービスでは入居者の銀行口座から家賃保証会社が引き落とします。そのお金を管理会社に送金し、管理会社が家主に送金をします。

家賃保証会社が引き落としをするので、引き落としができなかった場合、つまり家賃延滞が起きたときにはすぐに気がつきます。そこで即座に動けるので家賃保証会社にとってメリットがあります。管理会社からすると家賃が引き落としできなかったときに家賃保証会社への家賃延滞報告をせずに済むのでメリットがあります。

さて、この便利な集金代行サービスですが、引き落としできなかった場合でも家賃保証会社から管理会社への送金が発生します。契約件数が伸びてくると毎月の送金額もものすごい金額になりますので、毎月特定の日にキャッシュが一気になくなります。そこで回収できれば問題ないですが、回収ができない件数が伸びると次の送金ができなくなる可能性があります。

このためのコミットラインだと思われます。

しかしですよ。この、毎月特定の日に一気にキャッシュがなくなるというのは集金代行サービスに限りません。管理会社による集金代行であっても家賃の引き落としができなかった場合には家賃延滞報告が届きますので立替を行います。家賃額は集金代行であっても、なくても変わりませんので、結局、家賃保証会社が立て替えなければならない金額は同じです。

では、なぜ集金代行のときにキャッシュを気にするかというと、過去に家賃延滞報告が届いても立替を遅らせるという家賃保証会社が出てきたからだと思います。家賃延滞報告は届いたらすぐに立て替えるのが当たり前ですが、いろいろな言い訳をしてキャッシュがないので立て替えない、立て替えに優先順位をつける、立て替えを遅らせるということをやってしまった保証会社があります。

対して、集金代行であれば半ば強制的に送金しなければならないのでキャッシュがなければ送金できず、管理会社に「送金できなかった保証会社」として会社名が業界で認知されてしまいます。万が一にもそうなってしまうと保証会社としては終わりなので念を入れて準備をしているアピールをしているようにも見えます。管理会社からすれば最悪でも立て替えはしてくれるという安心材料になるのだと思います。

しかし、そういうこともあって最近は集金代行に銀行信託を使う保証会社が増えていますね。

銀行はお金のあるところにお金を貸す所です。


ご意見は info@hoshokaisha.jp まで

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コメント

収納代行型の保証は、黒字倒産する可能性がある理由を理解してる?

  • 2019/02/10(日) 18:30:23 |
  • URL |
  • #cv9sLfA2
  • [ 編集 ]

コメントありがとうございます。

>収納代行型の保証は、黒字倒産する可能性

これは、仮に毎月1億円の収納代行を行ったとして、9,000万円を引き落としできて、1,000万円が引き落としできなかった場合でも家賃保証会社からは1億円の送金を行う必要があるため、1,000万円の現金を家賃保証会社が用意しなければならない。

もし、この時点で1,000万円の現金を家賃保証会社が用意できなかった場合には現金がないので家賃保証会社は倒産する(9,000万円は家賃保証会社がプールし、管理会社に送金せず倒産する)、という意味でよいでしょうか?

これだと「黒字倒産」か赤字倒産かは関係がないですが、収納代行はそういうリスクがあります。そのため、家賃保証会社は銀行による信託を利用しはじめたのだと思います。

もし違えば、私の不勉強の可能性があるためご指摘いただけますと幸いです。

  • 2019/02/10(日) 19:43:06 |
  • URL |
  • 管理人 #-
  • [ 編集 ]

信託口座を利用した収納代行型保証は黒字倒産を避ける為ではない。
信託口座を利用したのは、倒産前に信託口座内のある資金を持ち逃げできないようにと、その送金を待っている家主への保全のため。


キャッシュが特定の日になくなり、回収できれば問題ないとありますが、満額引き落としが出来たとしてもいったん立て替えてるわけ。

27日引き落として、口座に着金するのは5営業日後。多くの保証会社の送金日は末日。遅いところでも5営業日以内。

ここで手元にキャッシュないと全額送金不可能になる。これが保証会社が手元にキャッシュがないといけない理由。

信託口座と黒字倒産は別。

あと信託口座には、翌月の家賃を保証会社の意思で入金するので、100パーセントの家賃が入る可能性がない事を付け加えて置きます。

  • 2019/02/10(日) 23:51:27 |
  • URL |
  • #g/Ij48x2
  • [ 編集 ]

再コメントありがとうございます。
また、情報提供ありがとうございます。

>信託口座を利用したのは、倒産前に信託口座内のある資金を持ち逃げできないようにと、その送金を待っている家主への保全のため。

おっしゃる通りです。

>27日引き落として、口座に着金するのは5営業日後。多くの保証会社の送金日は末日。遅いところでも5営業日以内。

これについては知りませんでした。5営業日確定ですか?あまり情報を出すと特定されてしまいますが。

>信託口座と黒字倒産は別。

おっしゃる通りです。
自分の文章を読み返して思いましたが、私の書き方だと信託銀行と黒字倒産が関係するようにも読めますね。
私の日本語がおかしかったです。ご指摘ありがとうございます。

>あと信託口座には、翌月の家賃を保証会社の意思で入金するので

「保証会社の意思」ではありますが、保証会社の意思の承認が第三者から必要だったと思います。
ただし、第三者が保証会社の関係者だったりしますので、事実上は保証会社の意思かもしれませんが。


わかりにくい文章や間違った情報はご指摘いただけますと助かります。
ありがとうございました。

  • 2019/02/11(月) 00:11:46 |
  • URL |
  • 管理人 #-
  • [ 編集 ]

偉そうに指摘してすみません。

最近流行りのコミットメントラインってなんなんでしょうね??超短期的融資、まぁ収納代行型保証の一時的な資金ショートの穴埋め的な融資なんでしょうけど。
仮に倒産直前でも、そんな融資されるんかな?個人的には、リプラスが破産直前に手を引いたUFJファクターのように金融機関は我が身が大切だから、同じように手を引くと思うねんけどなぁ。

  • 2019/02/12(火) 00:09:44 |
  • URL |
  • #ETD9LcB2
  • [ 編集 ]

いえいえ、ご指摘ありがとうございます。
正しい情報を発信していくのが趣旨ですから、間違った情報の修正、追加ご意見、交流は大歓迎です。

結局、コミットラインは家主、管理会社向けに「安心」を与えるためのツールだと思っています。実質、立て替えられるかどうかは保証会社の資金がすべてですからね。

リプラスショックの再来は避けたいですよね。

  • 2019/02/12(火) 21:35:20 |
  • URL |
  • 管理人 #-
  • [ 編集 ]

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