賃貸物件を借りるときの初期費用の話を記事にしています。そこに家賃保証会社のことが書いてありましたので少しご紹介いたします。
賃貸借契約で発生する借主の債務を保証するシステムとして、現在は「個人の連帯保証人」をたてる方法と「家賃保証会社」を利用する方法があります。
しかし、2020年の民法改正により、賃貸借契約でも「連帯保証債務の限度額」が定められることになるため、今後は「保証内容が明確」な家賃保証会社の利用が増えるのではないかと考えられます。
家賃保証会社の説明にはこのように書いてあります。
果たして、家賃保証会社は
賃貸借契約で発生する借主の債務を保証するのでしょうか?
なんとなく、答えは想像がつくと思いますが、家賃保証会社は保証をするのが業務ですが、保証するのは賃借人です。家賃の支払い能力を保証するのがメインです。滞納家賃をはじめ、原状回復費用とか、賃貸借契約の更新料などを保証することもありますが、「賃貸借契約で生じる債務」を保証するとなると少し違う気がします。
まず、債務という言い方が難しい。債務は一般的な言葉ですが、ウィキペディア先生は債務を次のように説明しています。
債務(さいむ、英: debt)とは、ある者が他の者に対して一定の行為をすること又はしないこと(不作為)を内容とする義務をいう。
日常用語としては、借金と同義に用いられることがある。
たぶん、記事では遅れた家賃のことを「賃貸借契約で発生する借主の債務」と表現し、この中に原状回復費用と賃貸借契約の更新料も含めたのだと思います。
あながち間違っていないのですが、賃貸借契約で発生する借主の債務には一般的な初期費用と退去時の費用が入ると思います。
つまり、敷金、礼金、火災保険、鍵交換代、ハウスクリーニング代なども含まれるようにも読めますが、家賃保証会社は一般にここまでは保証しません。
保証するのは遅れた家賃です。プラン内容によっては原状回復費用(の一部)、賃貸借契約の更新料、訴訟費用(建物明け渡し訴訟、強制執行)、荷物処分代なども保証範囲です。
賃貸借契約で発生する借主の債務を保証するという書き方をあまり見なかったのでちょっとご紹介いたしました。家賃保証会社が保証するのは遅れた家賃ではありません。家賃が100%遅れない入居者に付ける保証会社はありません。
よくある誤解は「家賃保証会社とは、入居者が家賃を遅れたときに立て替える会社です」という奴です。私がこの書き方が気に食わないのは、家賃が遅れたら仕事する、家賃が遅れなかったら仕事しない、と読めるからです。
その意味では生命保険に似ていますね。亡くなったら保険が出ます、のことを死ななかったら仕事していない、とは言いませんから。
また、紹介記事にもありますが、
「保証内容が明確」な家賃保証会社の利用が増えるは事実だと思います。
ただ、これも読み方が2通りあり、
- 家賃保証会社の中でも保証内容が明確な会社の利用が増えるのか
- 家賃保証会社は保証内容が明確なので連帯保証人を使わずに利用が増えるのか
まー、あまり変わらないかもしませんけど、日本語って難しいですよね。
ちなみに、どこが書いているのかと思ったら日刊住まいでした。運営はどこかと思ったら扶桑社でした。
恐れ入りました。

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