私はエイプリルフールにガチっぽいニュースをアップしているので気合い入ったフールだなと思ったら、本当に信託を利用するようです。
ニュースには、ニッポンインシュアが破綻をしてもオーナーは安心、と書いていますが、業界にいない人にはなんのことかわからないのではないでしょうか。
家賃保証会社には2つの立て替え方法があります。
1つは通常の代位弁済です。つまり、家主や管理会社が家賃の入金を確認し、入金がなかったら家賃保証会社に家賃が遅れていることを報告し、立て替えてもらう方式です。
もう1つは収納代行(集金代行)です。つまり、家賃の引き落としを家賃保証会社が行い、毎月家賃保証会社から管理会社や家主に送金するシステムです。これは管理会社が入金の確認をしなくてよく、家賃の延滞があったときにも延滞報告をしなくてよいので大変便利なシステムです。
ですが、大きな穴があります。
家賃保証会社の倒産です。
大きなところではリプラスという家賃保証会社が2008年に倒産して大変なことになったことがあります。リプラスは収納代行を提供してましたので、毎月入居者の家賃をリプラスが引き落としていました。引き落とした金額に滞納した差額を加えて管理会社に送金するのが本来です。
しかし、リプラスの場合、送金前に倒産してしました。家賃は引き落としたのに、送金しなかったんです。これが大問題になりました。
入居者は家賃を払っているのに、家主には家賃が入っていない。これでリプラスが払わなかったら入居者が泣くか(家賃をもう1回払う)、家主が泣くか(1か月分は諦める)しかありません。
それまで家賃保証会社が倒産するということは家主側も管理会社側も考えておりませんでした。単に家賃滞納があってもなくても毎月家賃が必ず入る収納代行は便利、毎月必ず家賃が入るのだから入居審査はしなくてよいので便利、家賃が遅れても督促は家賃保証会社がするから便利、程度に考えている方もいたようです。
しかも、リプラスは当時マザーズに上場している大手保証会社ですから信用力も抜群で、さらに保証料を値下げしていましたので家主にとっては大手の信頼できる保証会社が安く利用できるということも拍車をかけていました。
このように収納代行は使い方を誤れば諸刃となるシステムです。
そこで登場したのが銀行の信託契約です。保証会社によって呼び方が違うようで、管理信託といったり、信託契約といったり、信託口座といったり、単に信託といったりするみたいですが、すべて同じ意味です。
今までの収納代行でのお金の流れは
入居者 → 家賃保証会社 → 家主
でしたが、信託契約では
入居者 → 保証会社に依頼された銀行 → 家主
となります。
※厳密には保証会社が引き落とすのではなく、保証会社に依頼された決済代行会社が引き落とすのですが、お金の流れの話ですのでここでは割愛します。
信託を利用すると物理的に保証会社を経由しません。引き落とした資金は銀行が「家主のお金」として管理します。家主のお金ですので保証会社が使おうとしても銀行が使わせません。引き落とした家賃は銀行から家主に送金しますので、家主は確実に受け取ることができます。
そのため、家賃保証会社が倒産しても家主も入居者も困らないというわけです。
信託は数年前から各社利用するようになりましたが、まだ少数派のように思えます。
今の段階で信託を利用しているのは日本セーフティー、全保連、日本賃貸保証(JID)、ジェイリース、フォーシーズ、エルズサポート、ニッポンインシュア、アールエムトラストとかでしょうか。

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