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【質問】夜逃げされた部屋の家賃の保証期間はいつまで?強制執行まで保証してもらえる?

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下記のお問い合わせを質問箱でいただきました。

こんにちは。 いつも保証会社さんにお世話になっております不動産会社の者です。
入居者の滞納後の保証期間終了に関して、教えて頂きたいのですが、 先日入居者が家賃滞納によって、残置物を残した状態(生活感はあります)で(おそらく)夜逃げしました。

この場合、基本的に残置物の処分は自力救済として禁止されているかと思うので、賃貸人からしてみると強制執行の法的手続きまで家賃を保証して頂きたいのですが、直近で某保証会社さんが滞納入居者から所有権放棄の一筆をとっていたらしく、その場合は強制執行までの家賃保証は難しいものなのですか??


お答えします。

保証範囲、保証期間は家賃保証会社と交わした契約書によるところが大きいため、判断しかねます。家賃保証会社が取得していた一筆の内容次第では強制執行可能です。

解説いたしますが、長いので答えだけ欲しい人は最後の【結論】をお読みください。

まず、通常の流れからご説明します。

通常、家賃が遅れて支払いできない期間が続いた場合、保証会社から入居者に退去を促します。このままだと生活が破綻するから引っ越したら?という意味です。

ただし、99%引っ越しません。遅れているが家賃は払うし、引越しにはお金がかかるし、引越し先もない。頼れる人もいないがもう少し待って欲しい。言い方や内容は違いますがだいたいこんなことを言われます。

そして、それでも払えない期間が続くと裁判を起こします。建物明渡し訴訟です。この裁判は本当に早いと3ヶ月程度で終わります。相手が争ってきたり、書類の準備とか家主の協力が得られなかったりするとどんどん長くなります。

裁判とは言いますが、契約書上払っていない入居者が悪いので、余程のことがない限り100%家主が勝ちます。そして、裁判で決まったから素直に引っ越してねと通知します。ただし、99%引っ越しません。

引越しにはお金が掛かるし、引越し先もない。頼れる人もいないのもう少し待って欲しい。言い方や内容は違いますがだいたいこんなことを言われます。

せっかく裁判で勝ったのに出て行かないので、今度は強制執行手続きを取ります。強制執行の申し立ては大体ですが、早いと1~2週間程度でできます。

強制執行というのは、執行官と一緒に契約物件まで行き、何月何日何時までに部屋を引き払うこと、と通告して、それまでに出て行かなければ本当に強制的に荷物を搬出することができる手続きです。

執行官とともに契約物件まで行って契約者と会えなければ執行官の指示のもと部屋の中に強制執行日を書いた紙を貼り付けかえります。もし契約者と会えれば、その場で執行官から入居者に強制執行の通告をしてくれます。

しかし、入居者はこう言います。引越しにはお金が掛かるし、引越し先もない。頼れる人もいないのもう少し待って欲しい。聞き飽きたわ、と内心思いながら、執行官の横で黙って聞いています。執行官にとって支払日はどうでもよいので一方的に通告して帰ります。

そして、待ちに待った強制執行日。執行官と荷物搬出業者(強制執行補助業者といいます)とともに物件に行って荷物がなくなっていれば何もせずに終了。もし荷物があれば搬出して終了。荷物があって契約者がいたら・・・強制的に荷物も契約者も出します。

入居者は言います。引越しにはお金が掛かるし、引越し先もない。頼れる人もいないので(略)

入居者と別れるときに住まいが決まったら連絡くださいね。貯まった家賃の支払い方は相談しましょう、と言って分かれますが、100%連絡してきません。

支払い交渉で難航しまくって揉めまくった入居者が合法的、かつ、強制的に追い出される姿を見ると、つい「ザマァwww」とか思ってしまいます。私の心は醜いですね。

これにて一件落着ですが。このあとの回収が大変です。住んでいる人は住み続けるためにお金を用意しますが、部屋を出た人には支払わなくてもリスクがないので交渉が難航することが非常に多いです。だから給料とかを差し押さえるんですが。

ここまでが一般論です。

では今回のケースはどうでしょうか?

夜逃げしてしまい、荷物が残っている状態です。夜逃げとはいいますが、実際には長期間部屋を空けているだけで戻ってくるかもしれませんし、本当に帰ってこないのかもしれません。

だから荷物を勝手に出すと自力救済になってしまう可能性があります。つまり、家主が悪者になります。だから裁判するしかありません。

しかし、保証会社が滞納入居者から所有権放棄の一筆を取っているとあります。

この一筆の内容次第では、この書面を元に荷物の搬出が可能です。

考えられる書面は4種類。

1.公正証書
2.契約書
3.覚書(おぼえがき)
4.念書(ねんしょ)

それぞれ違うのでご説明します。

1.公正証書

保証会社と入居者の間ではまず交わさない書面です。公正証書は公証役場に行き、証人立会いのもと保証会社と入居者の間で書面を交わすことで成立します。

しかし、書面の作成にお金が掛かります。
そして、公正証書は判決を同じ効力があると言われていますが、判決と同じ効力があるのはお金の支払いについてです。家賃の支払いについては強制力がありますが、建物明渡しについては強制力がありません。

入居者が高額家賃で滞納額が物凄いときなどに交わすことが稀にある程度です。今回のような所有権放棄という点ではありえません。

2.契約書

入居の際に、家賃保証会社、入居者、家主の3社間で契約を交わしています。これ以後に家賃保証会社と入居者が契約書を交わすことはまずありません。

きわめて例外的に、家賃保証会社と入居者の間で保証契約書を巻きなおすことがあります。この場合でも契約書なので所有権放棄の内容は含まれていますが、所有権放棄のために取得するわけではありませんので、今回は違うと思われます。

3.覚書(おぼえがき)

可能性が高いのは覚書です。

覚書というのは契約書に補足したり、契約書の条文の一部を変更したりする際に交わされる書面です。ただし、ぶっちゃけ、契約書も覚書も大差ありません。タイトルが覚書となっていても実態が契約であればそれは契約書と見なされます。

今回のケースでは、何月何日までに支払いが完了しない場合には部屋を出るので荷物は保証会社で搬出処分して構わない、というような書面を交わしている可能性が高いです。

契約書も覚書も互いの署名捺印がある書面ですので、内容に不整合や無理難題がなければ成立します。

よって、上記のような内容の覚書を保証会社が事前に取得していた場合には、保証会社の権限で荷物搬出ができますので裁判を行わずにすみます。この場合、保証期間は賃貸借契約の終了日または荷物搬出日になると思います。

思いますというのは、保証会社によって契約内容が違いすぎるので私にはわかりません。契約書を読むしかないです。

4.念書(ねんしょ)

こちらも取得している可能性の非常に高い書類です。

念書というのは、約束ごとを書面に残して署名捺印して提出する書面のことです。保証会社の取得した一筆というのは、この念書で、何月何日までに支払いが完了しない場合には部屋を出るので荷物は保証会社で搬出処分して構わない、という内容の可能性があります。

覚書と同じじゃないか、と思うでしょうが覚書と念書では決定的に違う点が1つあります。

覚書は双方の署名捺印が必要ですが、念書は提出した側、つまり入居者の署名と捺印しかありません。

仮に所有権放棄の念書を取得したとしても、誰と誰が交わした書面なのかはわかりません。裁判になったときに、その書類を書いたという証拠にはなりますが、書いてある内容が認められるとは限りません。

慣れている入居者は「念書?あー書きましたねー。それが何か?」とか言ってくる始末です。

よって、保証会社が取得している書面はおそらく覚書か念書ですが、どちらを取得しているかで結果は天と地ほど変わる可能性が高いです。

きちんとした覚書を取得した場合には保証会社が荷物搬出、引渡しを行い、その日までの家賃を保証してくれる可能性が高いです。
念書を取得した場合、保証会社が荷物を搬出すると後々、入居者から家主が訴えられる可能性があります。これは保証会社は賃貸借契約に関わらないので、賃貸借契約の一方的破棄と搬出を指示したのは家主と考えられるからです。

ちなみに、裁判を行った場合、裁判開始から強制執行の終了まで半年近く掛かります。この分の家賃は普通、保証会社の範囲内ですが、支払い時期は各社違います。

【結論】

覚書を取得していれば保証会社で荷物搬出して、家賃保証してもらえる可能性が高い。

覚書を取得していなければ、裁判になるが、強制執行までの家賃を保証してもらえる可能性は高い。ただし、支払い時期がいつかは保証会社次第。

保証会社によっては裁判費用、強制執行費用、弁護士費用、荷物搬出費用、荷物保管費用、荷物処分費用などが保証会社持ちです。保証会社に問い合わせましょう。

裁判はお金がかかってしょうがない。これを保証会社が負担しているんだから儲けが出ないわけだ


ご意見は info@hoshokaisha.jp またはコメントまで。

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