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家賃保証会社に関してネットには嘘や誤解が多すぎる。だから自分が答える!

【入居者必見】連帯保証人がいるのに家賃保証会社が必要な本当の理由

最近、家賃保証会社と契約するのに連帯保証人を要求されることに納得をされていない方々がネット上で暗躍されているようです。

中には連帯保証人と契約しながら連帯保証人が必要なことを悪習といわれている方もいます。

詳しい方は正しい理解をした上で悪習といわれているのでしょうが、詳しくない方は単純に連帯保証人+家賃保証会社のことを悪習と勘違いされてしまうと怖いので私からも支援記事を提供します。

以前、なぜ家賃保証会社の契約に連帯保証人が必要なのか?という記事を書いたのですが、2018年7月のこと、私のブログ程度じゃぜんぜん社会に影響を及ぼせないようです。

今回はリベンジです。

連帯保証人と家賃保証会社の両方を要求するのは、ズバリ、家主のリスクを回避するためです。

ときどき連帯保証人と家賃保証会社が同じようなものと理解されている方がいますが、まったく違います。どちらも保証とついているので紛らわしいのだと思います。

連帯保証人でカバーできる範囲と家賃保証会社でカバーできる範囲が違います。そのため、足りないところを相互補完するために両方を要求しているんです。

戦国時代には子供を何人も作りましたね。アレは長男が戦争で死んでも次男が家を継ぐことで家を守れるからです。そういうリスクヘッジをしています。(わかりにくい例えですね。)

家主も同じです。家賃保証会社がダメなときには連帯保証人に話を持っていきます。

では、具体的に何が足りないのか?

家賃保証会社が保証してくれる可能性があるのは以下の通りです。
  • 家賃
  • 賃貸借契約の更新料
  • 原状回復費用
  • ハウスクリーニング費用
  • 鍵交換費用
  • 建物明渡裁判費用
  • 弁護士費用
  • 強制執行費用
  • 荷物搬出費用
  • 荷物保管費用
  • 荷物処分費用
  • 入居者死亡時の特殊清掃費用
  • 入居者死亡による家賃下落費用
  • 入居者死亡による空室時の家賃
  • 問題が起きたときの近隣住民引越し時の空室家賃


ですが、家賃保証会社の保証範囲は会社ごとに違います。場合によっては一番上の家賃以外は保証しませんし、入居者死亡時の費用は保証会社ではなく一般に保険の範囲です。すべてを保証してくれる家賃保証会社は稀です。

保証範囲に入っているからといって安心はできません。原状回復費用は上限がないため、家賃保証会社側で原状回復費用の保証上限を設けていることも多いです。仮に入居者の部屋の使い方が荒すぎて原状回復費用に100万円掛かるとして、家賃保証会社で50万円しか保証してくれないなら家主は50万円は手出しです。

後々は入居者から回収できるのかもしれませんが、いつになるのかわかりません。

入居者死亡時は大変です。部屋の中で亡くなった場合には部屋の清掃に非常に高額な費用が掛かります。単に掃除機をかけて雑巾をかけたくらいではまったくダメです。ハウスクリーニングを入れる前に特殊清掃といって部屋の中の体液を除き、オゾン脱臭機を使った特別な臭い消しを行い、壁紙を貼り換え、フローリングを貼り換え、畳を交換し・・・などめちゃくちゃ大変です。(全部行うとは限りません。汚れの程度によります。)

これを家賃保証会社が見てくれない場合には、やはり連帯保証人しかいないわけです。

さらに、入居者の素行が悪く、住民と揉め、住人の退去が起こった場合や入居者が亡くなった場合の補填に対しても連帯保証人以外では対応できないことも多いわけです。

入居者死亡時といわれて何のことかわからない人もいるでしょうから補足します。

部屋の中で入居者が亡くなると、その物件は「事故物件」として扱われます。賃貸に出すときに不動産屋は入居申込者に対して、この物件は前に住んでいた人が亡くなっています、と重要事項説明で伝えないといけないのです。普通、事故物件には住みたくないのですが、空室にはしたくないので家賃を下げて募集するわけです。

そうすると、前の入居者が亡くなっているけど家賃が安くなるなら仕方ないか、と部屋を借りる人が出てきます。

ですが、事故物件はすぐには埋まりません。契約する前の期間は空室ですので家主としても痛いわけです。

このように家賃保証会社だけでは補填できない部分を連帯保証人に求めているので家賃保証会社+連帯保証人という構図が成り立つわけです。

ここまで聞くと、だったら最初から連帯保証人だけでよいじゃないか!と思うでしょうが、近年では連帯保証人が連帯保証しなくなっているので家主も家賃保証会社なしでは怖くて部屋を貸せないわけです。

つまり、入居者だけではリスクがあるので連帯保証人を付け、連帯保証人をつけてもリスクがあるとして家賃保証会社を付けるわけです。

そもそもは家賃保証会社は家賃の支払い能力を保証しているわけなので、有事の際には家賃を立て替えればよかったのですが、それだけでは足りないので他の部分も保証するようになっています。

しかし、賃貸借契約にある支払期日をきちんと守る人が圧倒的多数であれば家賃保証会社なんていう需要は世の中になかったわけで、仮に入居者が家賃の支払いが遅れても連帯保証人がきちんと機能していれば家賃保証会社という需要は世の中になかったわけで。

100%完全に契約を守ってくれればこういう話にもならなかったわけです。

ここまでが家賃保証会社+連帯保証人の構図です。

ちなみに家賃保証会社と契約するのには入居者側にもメリットがありますが、それはまた、別のお話。

連帯保証人がいるのに家賃保証会社と契約するのは悪習!?



家賃保証会社と連帯保証人の関係をよくわかっていない方が両方を求めるのを悪習というのはわかります。事情を理解していないのだから仕方がありません。

しかし、上で書いたように両方を求めることは決して悪習ではありません。ですがですが、事情をよくわかっている人だから理解している両方を求める悪習というものも存在します。

それは必要もないのに両方をつけることで不動産屋のお小遣い稼ぎをする習慣のことです。

家賃保証会社を使う際に、実際に説明し、申込書を提出し、身分証などの必要書類を出すのは不動産仲介会社です。基本的に契約時に入居者と家賃保証会社は本人確認の電話以外では関わりません。

一切の事務を不動産会社に一任しているのです。

代わりに家賃保証会社から不動産会社に対して手数料を支払います。会社によって違いますが、家賃の10%~20%です。

あなたが10万円の部屋を借りた場合、目の前の不動産屋には1万円~2万円が入るわけです。1ヶ月に10件契約すれば10万~20万円、100件契約すれば100万~200万円が不動産屋に入ります。

結構なお小遣い稼ぎです。

そのため、仲介会社の中には連帯保証人だけで事足りるのに家賃保証会社をつけようとするところもあります。もちろん少数派のはずですが。

ただ、本当に必要がないのかは非常に怪しいところで、絶対に家賃は遅れないだろうという人も遅れるわけですから、リスクヘッジとして家賃保証会社は入れたい。家賃保証会社では足りないところがあるから連帯保証人もつけたい、結果、両方つけるというのが普通です。

両方つけるのが悪習というのは上記のような、一部の地域の、一部の人の、一部の状況を一般化しすぎた結果です。

読んでいてわかったと思いますが、連帯保証人の責任はそれだけ重たいです。連帯保証人なしで借りれるならその方がよいです。相手に負担を求めないわけですから。

そして、民法改正で連帯保証人の負担も減るわけですが、そうするとますます家賃保証会社のサービスが充実されるでしょうから。

それ相応のリスクがあるってことです


ご意見は info@hoshokaisha.jp またはコメントまで。

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