過去にも家賃保証会社フォーシーズの契約条項について、ケーシーズ(消費者支援機構関西)が違法と指摘し裁判にまで発展していることを当ブログでも話題に出してきました。
【質問】フォーシーズ VS ケーシーズ 解説してください
結局、家賃保証会社に賃貸借契約の解除権は認められるのか?【大阪高裁平成25年11月13日賃貸借契約解除判決】
過去のものを読み返すと長いので概要だけ説明すると、ケーシーズ側の主張は
家賃滞納があったとき、賃借人が退去していない状態で荷物を出すのは自力救済になる。また、この自力救済に対する損害賠償請求も認めないとするのは無効。というものです。
フォーシーズの契約書条文はすべて公式HPに公開されています。
お時間のある方は読んでみてください。
私はそれほど違法性を感じませんでしたが、法的なことはわからないことも多く、早く裁判の結果を知りたいなと思っていました。
そして、ついに、毎日新聞から賃貸物件の「追い出し条項」 一部違法判決 大阪地裁という記事が出ました。
ちょっと解説いたします。
家賃保証会社フォーシーズの条項の何が合法で何が違法だったのか?
前述の毎日新聞の記事によると
西村欣也裁判長は、家賃を2カ月以上滞納するなどした場合に明け渡しを可能にする条項は消費者契約法に反すると判断
条項自体を違法と認める判決は異例で、同様の条項を用いる業者に影響を与える可能性がある。
家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)は、借り手が家賃を2カ月以上滞納して連絡を絶つなどした場合、物件を明け渡したとみなすと規定。電気や水道の利用状況も勘案し、家具や荷物を搬出できると定めている。
西村裁判長は、賃貸借契約が終了していない段階で勝手に荷物を持ち出すのは不法行為に当たると指摘。撤去されても異議を言えないとしており、消費者契約法の禁止事項に該当すると判断した。
とのことです。
つまり、違法と判断されたのは、家賃を2ヶ月以上滞納した場合に物件を明渡す規定です。
記事にもありますが、
3カ月分の家賃を滞納すると一方的に賃貸借契約を解除できる条項は適法としています。
今までも慣例的に家賃が3ヶ月以上滞納があると家主から賃貸借契約を解除していました。一方、家賃滞納が3ヶ月以上続いたとしても家賃保証会社が賃貸借契約を解除できるのはどうなのかという意見もありました。
大阪高裁平成25年11月13日賃貸借契約解除判決では家賃保証会社の賃貸借契約解除を認めていたわけなので、今回の判決はこの判例を踏襲したようです。これは当然といえば当然です。
では、なぜ家賃が2ヶ月以上滞納した場合に明け渡しをしてはいけないのか?
フォーシーズの条文をよく読むとわかりますが、条文には
乙が賃料等の支払を 2 ヶ月以上怠り、丁が合理的な手段を尽くしても乙本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない乙の意思が客観的に看取できる事情が存するとき。
とあります。ここでいう乙というのは契約者(入居者)のことです。
家賃を2ヶ月以上滞納し、どうやっても本人と連絡がつかない場合には
乙が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。とあります。
要は家賃を2ヶ月以上滞納し、頑張っても本人と連絡がつかない場合には「夜逃げ」と判断するので、裁判をしても時間の無駄。だから家主のためにも、債務を膨らませないためにも、部屋を有効活用するためにも、契約者が明渡したと判断する。
部屋を明渡したのだから、部屋の中の荷物は家主の勝手、この場合は家賃保証会社の勝手。だから荷物を出しますという解釈だと思います。
夜逃げの場合には裁判をすることは100%無駄なので気持ちはものすごく、ものすごくわかります。(法的には裁判をするしかないんですが。)
大阪地裁は3ヶ月滞納で解約は認めるけど、2ヶ月で解約はさすがに無理と判断したようですが、実務ではこの条項はほしいところでした。
もしフォーシーズがこの裁判に勝てれば各社こぞって真似てくる可能性が高いです。この「頑張っても契約者と連絡つかなかったら2ヶ月で明渡し」条項はそれだけ魅力的な条項です。
裁判をしたら半年とか1年とかかかりますからね。その間の家賃は誰が払うのだ!という感じです。
ありがたいことにフォーシーズは控訴するそうですので、今後に期待大です。

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