
放送された意見について賛否両論あると思います。放送内容はどちらかといえば入居者側の意見ですので、業界人が見れば「それは違うんじゃない?」と思うのではないかと私は感じました。
しかし、保証会社は使われているものの、入居者にとっての存在意義が不明確になっていないところは多く、不満があるのは当然と思います。私は、保証会社に疑問を持っている方の意見を聞いて、素直な方だなと感じました。
色々コメントししていきます。

疑問を持ってNHKに投稿したのは横浜在住のAさん(テレビでは氏名が出ていましたが、ここでは伏せます)。「この保証会社と契約を結ばないとこの物件は賃貸借契約できない」と言われたそうです。収入のある父親を連帯保証人にしようとしたが大家側に断られたともあります。
これはよくいう、保証会社が賃貸借契約の条件というやつです。
入居者の方や申込者の方は誤解されていますが、世の中には保証契約と契約することを条件に借りることができる賃貸物件が多くあります。この条件がついている賃貸物件に保証会社なしで契約しようと言っても、それは大家側が最初に提示している条件を覆すことになりますから相当に難しいです。というか無理です。
あまり良い例ではありませんが、マクドナルドでビッグマックは390円、ポテト(M )は280円、飲み物は100円です。別々に買ったら770円です。しかし、セットで買えば600円です。これをポテトが280円で飲み物が100円なんだから600円-280円-100円でビッグマック単品で220円で売れと言っても絶対に売ってくれません。
「保証会社が条件の賃貸借契約」から保証会社を外すというのはこれくらい無茶を言っています。
※マクドの金額が違ったらごめんなさい。趣旨はそこではないので。あと抱き合わせ商法とか面倒なことは言わないように。
保証会社とは

ここでよくある保証会社の図式を出して、保証会社とは何かを説明してくれています。
これを聞いて私は驚きました。NHKさん、それは違います。
保証会社は保証をするのが仕事です。家賃が遅れた時に立て替えて後日請求するのは仕事の一部です。それが本業だと思ってもらうと大変迷惑します。
以前にも借主に代わって家賃を立て替える、のは家賃保証会社の業務ではない!で書いていますが家賃保証会社の業務は立て替えと回収ではありません。
保証料は本当に必要だったのか?

保証料の6万円は本当に必要だったのか?と入居者の素直な意見が出ています。業界人にいわせると必要なのですが、これは多くの利用者が考えていることだと思います。
家賃が遅れるのは少数派ですので、自分は絶対に家賃が遅れないんだから保証会社に払っている費用が無駄、そう考えるのは不思議ではありません。しかし、実は保証会社が普及したお陰で敷金、礼金が下がっている事実を利用者はわかっていません。
ですが、それが分からないのも当然です。保証会社も管理会社も仲介会社も入居者に説明しないからです。
大家に説明を求めたところ「借りる条件だ」としか説明がなかったとのことです。これは大家もわかっていない、もしくは説明が面倒だからでしょう。こういう小さいところの不満が今の業界のイメージに繋がっていると私は考えます。

ここで保証会社に詳しい犬塚浩弁護士からのコメントです。
連帯保証人は連絡がつかず、支払い請求できないケースがあるが、保証会社は必ず補填されるので利便性が高いと話に出ます。実際には連帯保証人は請求しても支払いを拒否してくる連帯保証人の役割を果たしていない人が9割以上ですので使い物になりません。
連帯保証人になったら抗弁権がないんですけど、連帯保証人になった人はわかっていないようです。自分のことを保証人だと思っているようです。そのため、連帯保証人ではダメなので保証会社が普及したという側面もあります。
念のためいっておきますが、保証人と連帯保証人は全く違うものです。
相次ぐ保証会社のトラブル

ここで保証会社のトラブルについて触れています。この手の特集では必ずといってよいほど保証会社はトラブルの元みたい放送をされるのでもう慣れました。
しかし、テレビってずるいなと思ったのが上の表です。表には消費生活センターへの苦情・相談件数(全国)とタイトルにあり、中央に大きく年間500件以上とあります。
NHKからは
この中には厳しい取り立てがあったという相談もあるようですと言っていますが、視聴者はこれを見て、年間トラブルが500件以上あると思うはずです。実際には相談件数が500件以上あってもトラブルは1件かもしれません(500件かもしれません)。件数がわからないのにこういう表を出すとイメージが悪くなります。
続いて、保証会社に退去を迫られた入居者の事例が挙がりました。(実際の放映とは前後しています)

正社員だったのですが失業し、転職はしたものの家賃を2ヶ月滞納したそうです。保証会社からは訪問のたびにインターホンは5分以上鳴らされ、電話や催促の手紙は毎日のように来たそうです。
そして、「契約解除になります」ではなく「契約解除になりました」ので「何日以内に荷物をまとめて出て行ってください」と言われたそうです。
さらに問題なのは、この方は事前に家主に転職先の給料が入り次第、家賃を支払うことを話していて大家の了承を貰っていたのに保証会社から請求、退去を迫られたとのことです。
これは完全に入居者側の目線で放映されているので事実はわかりませんが、保証会社側にもダメな点が多々あります。
毎日の電話、訪問、手紙は連絡がつかなければ普通です。居留守をつかわれたのかもしれませんが、そもそも保証会社から恫喝があったので話をしないようにしていただけかもしれません。5分以上のインターホンは法律的には問題なくてもかなり危ないです。大家との話はどこまで信用してよいのかわかりませんが、大家は保証会社に立て替えてもらうから良いという意味で「いいよ」と言った可能性はあります。もしくは収納代行で大家の意思とは無関係に立て替えたかもしれません。どちらにしても保証会社が入っているのであれば大家に直接相談するのは契約上は入居者側の手落ちです。入居者は自分から保証会社に連絡する義務があるはず。
契約解除になりました、とか荷物をまとめて出ていけの件は保証会社の追い出し行為の可能性が非常に高く、こういう保証会社は早くなくなってほしいです。昨年1月のことらしいので、2019年1月頃・・・あっ・・・(察し)。
結局この方は退去はせず、2ヶ月分を支払って、今でもそこに住んでいるそうです。
保証会社のトラブルにあわないためには

保証会社のトラブルにあわないための1つの判断基準として保証会社の登録制度についても触れました。登録している保証会社は大丈夫なはず、ということでしょうが、たぶん、上の事例の保証会社って(自主規制)。

借金の取り立てには貸金業法がありますが、保証会社の場合には法律で制限されていません。そのため、一定のルールは定めた方がよいという意見が出ています。その通りだと思います。
保証会社の自主ルールはありますが、判断基準があいまいで統一ルールではありませんので。
最後に。
もし保証会社の立場は正当とかNHKの批判をしているように読めたら私の文章力が無いせいです。すべては保証会社を知ってもらい、理解してもらっていないことが原因だと考えます。
だから、私も情報発信しています。
ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
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