新型コロナで倒産、内定取り消し、リストラが蔓延しているようで、不況にもあまり影響されないといわれる保証会社にも影響が出そうな勢いです。
新型コロナで保証会社がどうなるのか、予想してみます。
新型コロナが流行るとどうなるか?
別に新型コロナに限った話ではないのですが、今回のような緊急事態が起きるとどうなるか。外出自粛になっていますし、言葉は接待などと濁していますがキャバクラ、クラブなどが感染源になっていると報道されている以上、飲み系のお店の売上は軒並み減少でしょう。会社もリモートワークを推奨するところが多くありますので、飲食や物販にも相当の影響がでているはずです。
単純にお店の売上が減少して、しかもコロナの縮小がいつになるのか分からない現状ではリストラも増えます。事実、3月31日付の日経新聞ではコロナ、雇用と生産に影響 有効求人倍率1.45倍に低下とあるように大幅に減っています。

日本俳優連合でも仕事が減ったために貯蓄を切り崩したり、借金をしたりする人が出ていると明らかにしているくらいです。飲食に限らず、予断を許さない状況です。
仕事は明らかに減っていますので、今までの超売り手市場が超買い手市場になるかもしれません。
当然、生活費に困りますので家賃も払えなくなるという人は出てきます。
コロナの影響で家賃立て替え増
結果的にはコロナが流行った影響で保証会社が立て替える家賃が大幅に増えることが想定されます。
ここまでは想定内です。コロナに限らず、リスクヘッジのために保証会社を使いますから。コロナとリーマンショックはよく比べられますが、私は少なくとも1点、大きく違うところがあると思います。
リーマンショックの際には下降気味とはいえ経済は回っていました。コロナでは経済活動が大幅に縮小または停止しているように思えます。
保証会社はビジネスモデルとしては保証件数が増えれば増えるほど恐慌が起きた時に保証金額が増えるという点でリスクが増える仕組みです。ただし、恐慌が起きれば家主は先行き不安から保証会社を利用を推進する傾向にありますので売上にはそこまで大きな影響はでない(はず)です。
しかし、コロナで外出禁止の所為でしょうが、賃貸業界そのものが縮小しています。つまり、賃貸借契約の母数が大きく減ったので保証契約も大きく減っています。1月~3月が賃貸業界の繁忙期ですが、日本のコロナと丸かぶりですので、保証会社の売上はかなり厳しいはずです。
売上が厳しいのに立て替えは大幅に増えるということですので、あとは保証会社にどこまで資力があるかです。
なぜか企業の信頼性や安定性に資本金や自己資本比率を見る人がいますが、まったく意味ないです。見るべきなのは現金をいくら持っているか、借り入れがどこまでできるかです。不況が来れば好景気もそのうち来ます。一番危ない時を耐えられれば、また伸びるので。
その意味でJIDのコミットライン30億円は非常に強力です。
好景気のうちに不況の準備をするのは当然ですが、ここまでの恐慌を読んでいたら井坂会長、梅田社長は流石すぎます。
立て替えが増えるだけでは終わらない保証会社
立て替え増は予想の範囲内です。では次に何が起きるのか?
家賃延滞が起きても一般にはすぐに回復はしません。原因次第ですが、失業で仕事がなくなった場合には仕事が見つかってから早くても2ヶ月程度はかかります。むしろ、2ヶ月で回復する人は非常に金銭感覚の優れた方です。普通は半年以上~、場合によては1年以上かかって追いついたり、そのまま追いつかないので夜逃げしたり、裁判されたりします。
その間、保証会社は督促を続けますが、取れないものは取れないので裁判をすることになります。
ここで問題です。裁判をする場合の費用はどうなるでしょうか?
1.大家が全部払う
2.大家が払って後から保証会社が補填する
3.保証会社が全部払う
プラン次第ですが、3つともあります。普通の住居でも裁判をして強制退去までするとなると100万円は普通です。100万では足りないくらいです。
この費用も保証会社持ちなのですが、裁判費用以外にも問題があります。
裁判直前の家賃立て替えはどうなるのか?
裁判でも判決が分かれているので一概には言えないのですが、保証業界的には裁判をする前に意図して立て替えを止めて3ヶ月の未納の事実を作ることがあります。
家賃滞納での明渡訴訟は3ヶ月(目安)がないと裁判できないからです。
では3ヶ月滞納を作ったら立て替えは続くのかというとそうではなく、裁判が終わった半年後くらいにまとめて支払いをします。
つまり、家主には9か月以上家賃が払われない期間ができる可能性があります。平時ならともかく、家主は耐えられるのでしょうか?そして裁判費用を家主持ちにする場合、家主は支払えるのでしょうか?
既に裁判をするので立て替えを止められた家主の不安があります。
脱線しますが、リンク先の記事の保証会社は1,000円のQUOカードを配布して新規顧客を取っていたようです。保証会社名は掛かれていませんが、1,000円のQUOカードを配る保証会社として日本セーフティーを思い浮かべました。
なお、裁判の前に家賃の立て替えを止める手法そのものは普通です。しかし、時期が時期なだけに家主からすると、お金がないから立て替えをしないだけではないか?後で立て替えするというが裁判が終わった時に会社は残っているのか?という不安がどうしても残るので問題です。
保証会社の勢力図は塗り替わるのか?
賃貸業界の繁忙期とコロナの時期被りによる売り上げ減、立て替えの急増の他に、裁判による立て替え停止や家主の不安により保証会社の変更が起きる可能性があります。
つまり、今までは好景気で家賃が遅れなかったのに家賃延滞がこれほど怖いのかと思い知った家主が保証の手厚い保証会社に切り替える可能性です。
今の時点で申し込みをしてくれる顧客は減っていますが、ある意味では現時点では家賃が支払える優良顧客(見込)です。今まで減った売り上げを確保するために他社から案件を取るというのは手法としてはありえます。
少ないパイをみんなで取り合うという意味では群雄割拠の始まりです。
保証会社の審査はどうなるか?
おそらく新規顧客を確保するために審査内容を大きく変えることはないと思います。審査基準を変えることそのものは普通ですが、変え方が極端なら、その保証会社との付き合いを考えた方がよいかもしれません。
審査をあまりにも緩くする場合には目の前の資金確保のための動きに見えますし、審査基準を厳しくしすぎると保証会社を使う意味がありません。
保証会社の取り立てはどうなるか?
保証会社の取り立てがどう変わるのかは予想がつきません。
取り立てを強化するのはありえますが、厳しくするのは論外です。今回の事で立て替え案件は増えますので普通に回収している保証会社のクレームも増えるかもしれませんが、クレームの増え方が極端だと危ない保証会社の可能性があります。
どことは言いませんが、数年前に超大手保証会社が営業部隊を回収に回していた時期がありました。営業の繁忙期が終わっている以上、支出を少なくすることは考えられます。
保証会社はどこがよいのか?
これは回答が難しすぎます。
自分にあった保証会社を探すしかありませんが、特定の保証会社に依存しすぎるのはよくないと思います。2社か3社でリスク分散するのがよいのではないかと思います。
なお、こういうことを書くと私にどこがよいのかとメールされる方がいますが、私は特定の保証会社に肩入れしません。この保証会社はどうなのか、ということであればお答えすることがあります。
保証会社の株価
最後に上場している保証会社4社の株価の推移(直近6ヶ月)です。恐ろしいほどわかりやすいです。




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