様々な業界で倒産が続出していますが、当然家賃債務保証業界にも波は来ています。そんな中で保証会社クライシスという言葉を見かけました。
保証会社クライシス、保証会社危機ということでしょうか。過去に大手保証会社リプラスが倒産してリプラスショックなんていう言葉がありましたが、それを彷彿とさせる言葉です。
保証会社のリスクとは何か?
保証会社のビジネスモデルはストックビジネスです。保証する案件が多ければ多いほど更新する際の手数料が大きく取れるので保証案件を増やすとビジネスとしては安定します。
しかし、保証案件を増やすということはそれだけ滞納リスクも増えるということです。入居者の一定数が滞納することは想定内ですが、不況が来ると滞納件数は一気に増えます。倒産やリストラが増えるので当然です。
保証会社の損益分岐点を計算する時には、この不況の際の滞納リスクも加味した上で経営判断をしているはずです。
もしここで恐慌が起こったらどうなるのか?普通に考えれば滞納が増えるので立て替えが一気に増えます。お金が無くて立て替えできなければキャッシュアウトで倒産です。立て替えたお金が全然回収できなくても次の立て替え資金がなければ倒産です。
こう考えると保証会社は売上を上げれば上げるほどリスクが大きくなるともいえます。
保証会社は不況に強い?
とある保証会社の営業担当は保証会社は営業に強いと触れ回っているようです。
これは本当ですが、嘘です。(どっちやねん)
家賃滞納が増えると家主側は今後のリスクを減らすために保証会社を使いたがります。そして、引っ越し需要そのものはなくなりませんので保証会社の需要は不況の時に伸びる可能性があります。
問題になるのはキャッシュです。
保証会社の需要が高まり契約件数が増えたとします。でも、不況の時にはより安い家賃を探しますので案件は増えますが客単価は落ちます。景気が良い時には多少無理をしても良い部屋に住む(そして延滞する)人も多くいましたが、不況の時に無理はしません。
入るお金と出るお金を比較して入るお金の方が多ければ問題ありません。客単価が下がるとすると契約数を増やすしかありません。契約数を増やすにはどうするか?保証料を下げて安くするか、審査内容を緩くして案件を積極的に取りに行くかです。
保証料を下げると案件を増やしても売り上げは伸びませんので、案件確保に動くのでしょうか?でも案件確保に動くと優良ではない顧客まで取りに行くことになります。
もともと審査が緩かった会社が更に緩くするのと、審査が厳しかった会社が審査を緩くするのでは程度が違います。回収担当者が優秀ならばよいですが、ここで回収率は非常に重要です。
結局、保証会社が不況に強いのではなく、回収率を高く維持できる保証会社はいつだって強いのです。
不安視されている保証会社
冒頭で紹介した保証会社クライシスではとある保証会社の倒産が不安視されているようです。
具体的にどこの保証会社とは書いていません。仲介業者から最後の砦と言われているくらい審査率が高い会社のようです。私にはどこだかわかりませんが、仮にF社とします。
F社は審査が特に緩いことで有名なので、倒産が不安視されているようです。
実際のところはわかりません。勝手に広まった噂ですのでそのうちなくなると思います。しかし、特定の数社の倒産は常に言われ続けています。
F社に限らずZ社なんかも危ないと言われていますが、やはり根拠はありません。審査が緩いと不良債権が多く、回収できなかった時に経営が傾く可能性があるというのが理屈です。
しかし、忘れてはいけません。会社の経営が傾くかどうかは現金があるかどうかです。現金さえあればどれだけ赤字でも倒産しません。倒産するかどうかは会社の規模でも、売上高でも、自己資本比率でも、審査承認率でもありません。現金があるかどうかがすべてです。
保証会社の淘汰は進むのか?
現金があるかどうかというのは、会社の預金や資産がどれだけあるかというのもそうですが、銀行の融資枠がどの程度あるかです。こういう不況なので銀行も貸し渋るはずです。不渡りを出す可能性が高いなら絶対貸さないのが銀行です。
どこかの国のことわざに「溺れている犬は棒で叩け」というものがありますが、まさしくそれです。悲しいかな、決して溺れた犬は助かりません。
保証会社が淘汰されると結局困るのは家主です。こういう危機はみんなで乗り切りましょう。

P.S.
こういう危機なので家賃は払わなくてもよいとかふざけたことを言っている人は保証会社を潰したいのでしょうか
ご意見は info@hoshokaisha.jp まで
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