元・家賃保証会社社員が本気で何でも答えたら

家賃保証会社に関してネットには嘘や誤解が多すぎる。だから自分が答える!

【質問】フォーシーズ VS ケーシーズ 解説してください

フォーシーズ VS ケーシーズとは、家賃保証会社VS消費者団体の争いのことです。フォーシーズはこのブログでも度々取り上げていますので知っている方も多いと思いますが、大手保証会社で業界随一の審査率の高さを誇ることから、他の保証会社のお断りがあっても受けてくれる最後の砦とまで言われている保証会社です。一方、ケーシーズは非特定営利活動法人消費者支援機構関西の通称です。消費者被害の未然防止、拡大防止・被害回復を主な活動としている団体で、一見すると保証会社と被害者代理のようにも見えますが、解説していきます。

ただ、私は保証会社の社員であって、法律の専門家ではありません。発言に責任を持たないとは言いませんが仕事柄、法律にちょっと詳しい人、程度の解説しかできません。そして今回私なりに調べましたので、調べた範囲でのお答えにしかできません。予めご了承ください。

2016年まで遡ります。ケーシーズからフォーシーズに保証契約書の条文に法律違反があるとして修正を求めたところから始まります。その後、やり取りが数回あったようですが、フォーシーズ側が話し合いに応じたにも関わらず、修正の要求が通らず、ケーシーズ側が訴えたようです。
ケーシーズ側の主張は

  1. 申し入れをしたのに無視されたので提訴した。

  2. 家賃滞納があったとき、賃借人が退去していない状態で荷物を出すのは自力救済になる。また、この自力救済に対する損害賠償請求も認めないとするのは無効。

  3. 国民生活センターには102件の被害報告がある。


一方、フォーシーズ側の主張は

  1. 無視はしていない。誠意を持って対応している。面談も行っている。

  2. 条文の曲解をしている。入居者保護のための条文であって、自力救済をするものではない。明示的な退去が無ければ全て裁判を行っている。

  3. 国民生活センターのシステムでは「フォーシーズ」の問合せ件数は分かるが、保証会社フォーシーズのものであるかどうかの特定はできない。


ざっくりと言うとこんな感じです。フォーシーズ側の弁護士が抗議書を作成してHPで公開していますが、弁護士の頭が良すぎて一般人には分かりづらいです。事実がどうなのか、法的にどうなのかは置いておいて(いずれ裁判所が判決を出すでしょう)私見ですがケーシーズ側の主張には無理があります。

1.ケーシーズが申し入れをした後にフォーシーズは無視していない。
フォーシーズが公開している抗議書に記載がありますが、面談までしているようです。そして無視していないと主張している事に対してケーシーズは黙認しているようです。

2.自力救済と損害賠償請求を認めない、わけがない。
抗議文には詳細には書いているのですが、雑に言うと「誰がどうみても、どこをどう判断しても入居者が退去したことが明らかであればそれは退去とみなし、荷物は預かる。退去が明らかではない場合には建物明け渡し訴訟を行う」という内容です。部屋を占拠していると家賃が発生しますので、無駄な家賃発生を抑える事を意図としているともあります。条文をよくよく読むと荷物を預かる費用についても言及していますので入居者負担という意味では相当入居者目線です。また、損害賠償請求を認めない条文の意味が分かりません。損害賠償請求をしたければいついかなる時でも請求可能です。請求が通るかどうかは別問題です。条文に書いているかどうかは一切関係ありません。きっとこの申出書を作った方は、当日熱でもあったのでしょう。

フォーシーズが本当に任意退去以外を全て裁判をしているかは分かりませんが、売上と訴訟件数(どちらもHPに公開している)、さらに高額帯の賃貸物件がメインである事を考えるとそう考えてもおかしくない内容です。具体的な数値はありませんが、直近の売上は約22億~23億円、訴訟件数は約150件、家賃の延滞率は高めに見積もって10%、更に遅れる人の中の10人に1人を訴訟するとして(これも多めに見積もって)、22億円×10%×10%÷150件=147,000円。仮にフォーシーズの単価が約15万円ならそんなもんです。単価としてはかなり高いですが、高級賃貸とオフィス・店舗を中心である事を考えると十分に有り得る数字です。本当に全部訴訟してそう。

そして何よりも大きいのは、2015年の大阪地方裁判所で保証会社が賃貸借契約の解除権は有効と認めるという判決が出ており、それに対する控訴審(高等裁判所)で賃借人側の控訴を退けている事。高等裁判所が駄目なら最高裁判所で争えばいいじゃないとか思うかもしれませんが、高等裁判所で認められたことが最高裁判所で退けられることはまずありません。これは控訴を退けられていますけど。つまり、争う前からフォーシーズが勝っている可能性が高いです。

3.国民生活センターに102件の報告がある。
これは分かりません。本当かもしれませんし、テキトーな数字なのかもしれません。本当なら根拠が欲しいですし、家賃保証会社フォーシーズではないものが含まれているのかもしれません。

ちなみに、このケーシーズは過去に日本セーフティー、日本賃貸保証、Casa、オーロラ、VESTA、ソフトニーズにも申し入れをしたり、調査の名目で家賃保証会社の契約書の提出を求め、提出しない会社名を公開したりと、中々のアンチ保証会社のようです。

明日は、どっちだ?

質問があっても許可が下りるまで公開しません。
ご意見・ご質問は info@hoshokaisha.jp まで
関連記事
  • このエントリーをはてなブックマークに追加